臭桐
autumn 生活

臭桐

くさぎり

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意味・由来

「臭桐(くさぎり)」は、シソ科(旧クマツヅラ科)の落葉低木である「臭木(くさぎ)」の別名であり、主にその実を指す秋の季語です。葉や茎を傷つけると独特の強い臭気があることからこの名がついていますが、秋になるとその印象は一変します。星型に開いた鮮やかな赤紫色の萼(がく)の中央に、光沢のある深い藍色の丸い実を実らせます。そのコントラストは非常に美しく、名前の「臭」という文字からは想像できないほど上品で神秘的な佇まいを見せます。

この季語で詠むコツ

「臭桐」を詠む際は、その名前が持つ野生的な響きと、実や萼が織り成す「赤と藍」の鮮烈な色彩美とのギャップを意識するのがコツです。秋の澄んだ空気や寂しげな山路の風景の中で、この実が放つ独特の存在感を切り取ることで、情緒豊かな句になります。単に色を写生するだけでなく、手触りや風の動きなどを重ね合わせると効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色彩を表す言葉(藍、朱、赤、星、瑠璃、染まる)
  • 背景や環境を示す言葉(山路、藪、日ざし、風、こぼれる、土)
  • 心情や感覚を表す言葉(寂しさ、静か、ひそか、冷たし)

臭桐」の俳句例 (3件)

臭木の実こぼれつくして萼の赤
高浜虚子【現代語訳】臭木の美しい藍色の実はすべてこぼれ落ちてしまい、あとには星型をした赤い萼(がく)だけが鮮やかに残っている。【鑑賞】主役であるはずの実が落ち尽くした後に、なお美しく残る赤い萼に着目した写生句です。初秋から晩秋への移り変わりを「赤」という色彩の対比で鮮烈に描き出しており、虚子の鋭い観察眼が光ります。
寂しさにまたひろひたる臭木の実
野村泊月【現代語訳】山路を行く寂しさから、足元に落ちていた美しい臭木の実を、また一つ手のひらに拾い上げてしまった。【鑑賞】秋の山歩きにおける孤独感や切なさを、落ちている青い実を拾うという日常的な動作によって象徴的に表現しています。手のひらに収まる小さな実の冷たさと美しさが、作者の寂しさを静かに慰めているようです。
日のあたる臭木の実にも風のあり
高浜虚子【現代語訳】秋の柔らかな日の光を浴びている臭木の実。その小さな実にも、静かに秋の風が吹き抜けて揺らしていることだ。【鑑賞】虚子の客観写生の極致を示すような、平明で奥深い一句です。日の当たる山野で、美しい藍色の実が微風に揺れる様子をありのままに捉えています。ありふれた自然の光景の中に、季節の確かな息吹と調和を見出しています。

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