柏散る
autumn 生活

柏散る

かしわちる・かしわちる

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意味・由来

「柏散る(かしわちる)」は、カシワ(柏)の葉が秋の深まりとともに散っていく様子を捉えた季語です。ブナ科の落葉高木であるカシワは、独特の大きな波状の鋸歯を持つ厚い葉が特徴です。カシワの葉には「枯葉居残り」という性質があり、秋に茶褐色に枯れた後も、翌春に新芽が出るまで枝に留まり続けることが多いのですが、激しい秋風や冬枯れの嵐によって、大きな音を立てながら散る姿には、他の落葉にはない独特の力強さと哀愁があります。晩秋から冬への過渡期を感じさせる、情緒深い季語です。

この季語で詠むコツ

カシワの葉は大きく、肉厚でごわごわとした質感を持っています。そのため、詠む際には「ひらひらと舞う」ような繊細な落葉ではなく、「ガサリと落ちる」「カサカサと大きな音を立てる」といった、物理的な重みや乾いた音に着目するとリアリティが出ます。また、最後まで枝にしがみつく性質から、冬の寒さに耐える力強さや、ついに散ってしまったときの寂寞感を対比させて詠むのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 触覚・聴覚を刺激する言葉:乾く、カサリと、重き、地響き、音を立てて
  • 風や空模様を表す言葉:木枯らし、嵐、乾風(からっかぜ)、鈍色の空
  • 寂しさを引き立てる情景:古寺、社(やしろ)、無人の境、街道、山の端

柏散る」の俳句例 (3件)

柏散る枯木のなかの嵐かな
正岡子規【現代語訳】周囲の木々がすっかり枯れ果ててしまった林の中で、激しい嵐が吹き荒れ、大きな柏の葉が音を立てて散り落ちてゆくことよ。\n【鑑賞】晩秋の荒涼とした風土の中で、最後まで残っていた柏の葉が嵐によって引き剥がされるように散るダイナミックな光景を描いています。「枯木」と「嵐」という激しい背景の中で、柏の葉の存在感が際立っています。
柏散る奥津宮へと道くだり
水原秋桜子【現代語訳】神聖な奥津宮へと続く参道の坂道を下っていくと、激しい秋風に吹かれて柏の葉が次々と散り落ちてくる。\n【鑑賞】格式ある神社(奥津宮)を背景に、大きな柏の葉が散る様子を捉えた静謐で格調高い一句です。古びた参道に散り敷く茶褐色の柏葉が、秋の深まりと神域の厳かさを引き立てています。
柏散りつくし寂しき幹となる
大野林火【現代語訳】枝に最後までしがみついていた柏の葉も、ついにすべて散り尽くしてしまい、木はただ一本の寂しげな幹だけになって立っている。\n【鑑賞】冬を前に、頑なに葉を留めていた柏の木が、ついにすべての葉を落とした瞬間を詠んでいます。葉を失って剥き出しになった幹の「寂しさ」には、冬の到来を受け入れる自然の諦念と、毅然とした佇まいが同居しています。

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