鱲子
autumn 生活

鱲子

からすみ

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意味・由来

「鱲子(からすみ)」は、ボラなどの卵巣を塩漬けにし、塩抜きした後に天日干しで乾燥させた高級珍味です。その平たく艶のある形状や琥珀色の見た目が、中国(唐)から伝わった「唐墨(からすみ)」に似ていたことからこの名がつきました。秋にボラが産卵期を迎えるため、この時期に作られる秋の季語となっています。古くから長崎などの名産として知られ、高級感と豊かな海の恵みを象徴する季語です。

この季語で詠むコツ

鱲子は、何と言っても「お酒の肴」としての存在感が際立つ季語です。そのため、お酒を酌み交わす大人の静かな時間や、夜の深まりといったシチュエーションと非常に相性が良いです。また、薄く切った時の琥珀色や赤みを帯びた美しい色彩、独特のねっとりとした食感など、五感を刺激する具体的な描写を取り入れることで、より写実的で魅力的な句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 酌む、盃、酒、一献(お酒にまつわる言葉)
  • 琥珀色、赤、透き通る、薄刃(色彩や視覚を捉える言葉)
  • 秋の灯、夜更け、静か、旅寝(しっとりとした時間や空間を示す言葉)

鱲子」の俳句例 (3件)

鱲子や酒なき家に宿りけり
高浜虚子【現代語訳】せっかく上等な鱲子があるというのに、今宵宿った家には酒がない。なんともちぐはぐで残念なことだ。 【鑑賞】お酒の最高の相棒である鱲子を目の前にしながら、酒がないという状況の滑稽さと、旅先での思い通りにいかない人間味のある寂しさをユーモラスに描いています。
からすみの一片赤く透きとほる
山口青邨【現代語訳】薄く切り分けられた一枚の鱲子が、光に透かされて美しく赤く澄んでいる。 【鑑賞】味わいだけでなく、その美しさに焦点を当てた近代写生俳句の傑作です。光に透かすことで浮かび上がる鱲子の気品ある美しさが、鮮やかに表現されています。
からすみやこれでもおのが親の跡
与謝蕪村【現代語訳】鱲子よ、お前はこんな姿になってしまったけれど、これがかつて海を泳いでいた親(ボラ)の生きた証なのだね。 【鑑賞】すっかり平たく乾燥されて加工された鱲子の姿を見て、その親であるボラの面影や海の命に思いを馳せた、蕪村らしいユーモアと優しさが溢れる名句です。

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