唐撫子
autumn 生活

唐撫子

からなでしこ

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意味・由来\n唐撫子(からなでしこ)は、ナデシコ科の多年草で、別名を「石竹(せきちく)」とも呼びます。平安時代に中国(唐)から渡来したため、日本自生の大和撫子(カワラナデシコ)に対してこの名が付けられました。大和撫子に比べて茎が太く、葉がやや硬く、花びらの切れ込みが浅いのが特徴です。秋の季語として用いられる際は、大和撫子の儚さとは少し異なる、どこかエキゾチックで凛とした佇まいや、鮮やかな色彩が強調されます。\n\n### この季語で詠むコツ\n大和撫子が持つ「しとやかさ」や「寂しげな風情」とは異なり、唐撫子には「力強さ」や「くっきりとした輪郭」があります。そのため、単に憐れむのではなく、その鮮やかな赤やピンクの花びら、あるいは「石竹」という別名が象徴するような、少し硬質な強さに着目して詠むと、句に独特の引き締まった緊張感や生命力を与えることができます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n色彩を強調する言葉(「赤き」「濃き」「薄き」など)や、質感の硬い名詞(「石」「瓦」「日ざし」など)と相性が良いです。また、日常の何気ない景(「水たまり」「庭先」「小径」など)と取り合わせることで、その可憐で凛とした美しさがより引き立ちます。

唐撫子」の俳句例 (3件)

唐撫子日に日にうすきにほひかな
久保田万太郎【現代語訳】唐撫子の花が咲いているが、秋が深まるにつれて、そのほのかな香りが日に日に薄くなっていくように感じられることよ。\n【鑑賞】万太郎らしい繊細な感覚が光る一句です。花の衰えゆく香りに焦点を当てることで、静かに、しかし確実に移ろいゆく秋の寂寥感を見事に描き出しています。
石竹の赤きに耐ふる日ざしかな
芝不器男【現代語訳】石竹(唐撫子)の鮮やかな赤い花が、じっと耐えるように浴びている、この強い秋の陽射しよ。\n【鑑賞】「石竹」の情熱的な赤と、容赦なく照りつける太陽の光の対比が非常に鮮烈です。若くして亡くなった不器男の、物事の質感や光を捉える鋭い感性が凝縮された名作です。
石竹や仏のうつる水たまり
小林一茶【現代語訳】石竹(唐撫子)の花のそばにある水たまりに、お堂の仏様(あるいは仏のように穏やかな空)が静かに映り込んでいることよ。\n【鑑賞】一茶らしい温かみと、素朴な信仰心がにじむ句です。足元の小さな水たまりに映る仏性と、そこに寄り添うように咲く石竹の取り合わせが、どこか救いのある平穏な世界観を構築しています。

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