南瓜忌
autumn 行事

南瓜忌

かぼちゃき

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意味・由来

南瓜忌(かぼちゃき)」は、10月15日。大正・昭和期に活躍した詩人、小説家、劇作家であり、優れた皮膚科の医学者でもあった「木下杢太郎(きのしたもくたろう、本名:太田正雄)」の忌日です。別名を「杢太郎忌」「化楽(けらく)忌」とも言います。彼は晩年、東京や疎開先で身の回りの植物を細密かつ瑞々しく水彩で描いた『百花譜』を遺しました。その画帖には、庭で実った南瓜の生命力あふれる写生が何枚も残されており、無骨ながらも温かみのある南瓜の佇まいが、彼の誠実で多才な人柄を象徴していることから、この忌名で親しまれるようになりました。

この季語で詠むコツ

木下杢太郎の「医学者でありながら芸術を愛した」という洗練された生涯や、彼が遺した美しい植物写生帖のイメージを重ねて詠むのが王道です。単に野菜の南瓜を詠むのではなく、絵の具や筆、画帖といった絵画にまつわる道具、あるいは南瓜が持つ素朴で力強い造形を通して、知性と温もりに満ちた故人の面影を偲ぶように表現すると、格調高い句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 絵の具、水彩、画帖(画帖)、筆、机、書斎
  • 黄、緑、蔓(つる)、葉脈、実、庭隅
  • 乾く、残る、静か、ひそか

南瓜忌」の俳句例 (3件)

南瓜忌や絵の具の皿の乾きをり
木村蕪城【現代語訳】木下杢太郎を偲ぶ南瓜忌の日、彼が愛用していた絵の具の皿が、今はひっそりと乾いたまま残されていることよ。【鑑賞】かつて美しい水彩画を描くために使われていた絵の具の皿。それが乾いたまま静かに置かれている様子から、主を失った書斎の寂しさと、今なおそこに息づく杢太郎の美への情熱が痛切に伝わってくる名句です。
南瓜忌や水絵具なる黄と緑
鷹羽狩行【現代語訳】南瓜忌を迎えて、杢太郎が愛用した水彩絵の具の、あの鮮やかな黄色と緑色がまぶたに浮かんでくる。【鑑賞】杢太郎の写生帖に描かれた南瓜の生命感溢れる色彩を、「黄と緑」という純粋な色彩で表現しています。「水絵具」という言葉の持つ透明感と、南瓜の持つずっしりとした存在感が、杢太郎の瑞々しい感性を象徴しています。
南瓜忌や画帖にのこる蔓の先
松崎鉄之介【現代語訳】南瓜忌の日に故人の遺した写生帖を開くと、まるで今も伸びようとしているかのような南瓜の蔓の先が描かれている。【鑑賞】杢太郎がスケッチした南瓜の細部、特に「蔓の先」という繊細な部分に着目した句です。そこには、ただ対象を記録するだけでなく、自然の生き生きとした呼吸まで写し取ろうとした、彼の優しい眼差しがそのまま残されています。

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