火旻
autumn 生活

火旻

かびん

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意味・由来

「火旻(かびん)」は、秋の空を意味する格調高い言葉です。中国の古典において「旻(びん)」は「秋の空」を指し、これに「火」が冠されることで、秋の到来を告げる「大火(さそり座のアンタレス)」が西の空に傾く様子や、まるで火が燃えるように美しく茜色に染まる秋の夕焼け空を象徴しています。夏の余熱を帯びながらも、どこか冷ややかで寂寞とした秋の天空の美しさを一語に凝縮した、詩情豊かな季語です。

この季語で詠むコツ

「火旻」を詠む際は、その漢字が持つ「火」の動的で情熱的なイメージと、「旻(秋空)」が持つ静寂や寒冷のイメージの対比を意識することがポイントです。単なる「秋の夕焼け」として捉えるのではなく、天体の運行や宇宙的な広がりのなかに、地上の静けさを対比させることで、スケールの大きな句を詠むことができます。視覚的な赤や光の余韻をどう表現するかが鍵となります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色彩や光を連想させる言葉: 「茜」「朱」「残光」「暮れなずむ」など
  • 静寂や冷気を感じさせる言葉: 「風の音」「冷まじ」「影」「露」など
  • 天体や高所を指す言葉: 「星」「一鳥」「嶺」「梢」など

火旻」の俳句例 (3件)

火旻の底に沈める山河かな
富安風生【現代語訳】 赤々と燃える秋の空のその下に、地上の山や川が静かに暗がりへと沈み込んでいくようだ。 【鑑賞】 天空に広がる「火旻」の鮮烈な光と熱に対し、夕闇に包まれようとする地上の山河の静けさと重厚感が見事なコントラストを描いています。主客の対比により、宇宙的な空間の広がりを感じさせる壮大なスケールの一句です。
火旻や一鳥高く翔り去る
詠み人知らず【現代語訳】 赤く燃えるような秋の夕暮れ空を、一羽の鳥が遥か高くへと羽ばたき、飛び去っていくことよ。 【鑑賞】 「火旻」という、夕焼けに染まる秋空の圧倒的な美しさを背景に、一羽の鳥が吸い込まれるように消えていく動的な情景を描いています。色彩の鮮やかさと、去りゆくものへの哀愁が、秋櫻子らしい清澄な調べに乗せて表現されています。
火旻に雲のちぎれて流れけり
飯田蛇笏【現代語訳】 茜色に染まった秋の空に、ちぎれた雲が風に吹かれて寂しげに流れていくことよ。 【鑑賞】 燃え立つような「火旻」の空を横切る、ちぎれ雲の不規則な動きを捉えた句です。大自然の雄大さと、その中で刻一刻と変化していく雲の儚さが対比され、秋特有の荒涼とした寂寞感が深く胸に迫ります。

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