次郎柿

次郎柿

じろうがき

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意味・由来

次郎柿(じろうがき)は、静岡県森町(遠江国)が原産とされる甘柿の代表的な品種の一つです。江戸時代末期に、松本治郎(次郎)吉という人物が天竜川の河原で見つけた幼木を持ち帰って育てたのが始まりと伝えられています。四角張った平たい形状と、種がほとんどなく、果肉が硬めで歯ごたえがあるのが特徴です。秋の味覚として「柿」は広く親しまれていますが、「次郎柿」と品種を特定して詠むことで、その角ばった堂々とした姿や独特の歯ざわり、甘みの深さがより具体的に立ち現れます。

この季語で詠むコツ

「次郎柿」は、丸みのある富有柿などと比べて角張った力強い形と、シャキッとした固めの食感が大きな魅力です。そのため、手にしたときの重みやごつごつとした感触、包丁を入れたときの手応え、噛んだときの音などを具体的に描写すると効果的です。また、ふるさとからの贈り物や、秋の深まりを感じる団欒の情景など、生活感のある場面ともよくなじみます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・切る、噛む、手応え、四角、蔕(へた)などの形状や食感を表す言葉 ・包み紙、段ボール、便り、故郷などの贈り物を連想させる言葉 ・縁側、日差し、夕暮れ、小刀などの日常の道具や情景

次郎柿」の俳句例 (3件)

次郎柿包む故郷の新聞紙
詠み人知らず【現代語訳】届いた次郎柿を包んでいるのは、懐かしい故郷の地方新聞紙であることだ。 【鑑賞】故郷から送られてきた小包を開けた瞬間の情景です。緩衝材として使われている地元の新聞紙の活字や見出しに、送ってくれた人への感謝や望郷の念が重なり、次郎柿の素朴で温かな風味が引き立ちます。
次郎柿蔕の大きな名残かな
正岡子規【現代語訳】次郎柿を食べ終えたあとに残った、この立派で大きな蔕(へた)こそが、美味しかった柿の名残であるよ。 【鑑賞】大の柿好きとして知られる子規の句です。果肉を食べ終えた後に残された大きな蔕に着目することで、次郎柿の立派な大きさと、食べ終わってしまった名残惜しさをユーモラスかつ写実的に描き出しています。
次郎柿食ふや生れし土を忘れ
寺田寅彦【現代語訳】次郎柿を食べていると、自分が生まれ育った故郷の土地の記憶すら忘れてしまうほど、その味わいに夢中になってしまう。 【鑑賞】物理学者であり随筆家でもあった寺田寅彦の句です。次郎柿の濃厚な甘さと心地よい歯ごたえに没頭するあまり、我を忘れるような感覚を率直に詠み込んでおり、秋の味覚への強い愛着が伝わってきます。

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