初風

初風

はつかぜ

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意味・由来\n「初風(はつかぜ)」とは、立秋を迎えて初めて吹く秋の風を指す初秋の季語です。暦の上で秋になったとはいえ、まだ厳しい残暑が続くころ、ふとした瞬間に肌を撫でる涼やかな一筋の風を意味します。古くは『古今和歌集』をはじめとする古典和歌の時代から詠まれており、猛暑が和らぐかすかな安堵感とともに、やがて訪れる本格的な秋の寂しさの兆しをも予感させる、非常に繊細で情感豊かな季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n「初風」を詠む際は、大げさな天候の変化ではなく「身の回りのささやかな気配」に着目するのがポイントです。ただ「涼しい」と直接説明するのではなく、風が触れたもののわずかな揺れや音、日常の無意識な動作を描き出すと効果的です。例えば、手にしていた団扇を思わず置く、ふと首筋に冷気を感じる、庭の草の葉先がかすかにそよぐといった、小さな発見を写し取ることで、秋の訪れを敏感に感じ取った余情が生まれます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 生活・道具:扇、簾(すだれ)、窓、襟元、湯上がり\n- 自然・景物:露、梢、水面、夕暮れ、雲の峰、草の葉\n- 動作・感覚:触る(触る)、置く、立ちそめる、ふと、かすかに

初風」の俳句例 (3件)

初風や水に動くもなき蓮
与謝蕪村【現代語訳】立秋の初風が吹き渡るが、池の蓮の葉は揺れ動くこともなく、静かに佇んでいる。\n【鑑賞】風が吹いたと言っても、大きな蓮の葉を揺らすほどではなく、池の水面も葉も静止したままです。目に見える動きがない静寂を描くことで、逆にかすかな初風の気配そのものを際立たせるという、蕪村の絵画的な構成美が冴える一句です。
初風や唯秋めくを扇より
松尾芭蕉【現代語訳】秋の初風が吹いてきた。手にした扇で風を起こすだけでも、ただもう秋の気配が感じられることだ。\n【鑑賞】残暑の中で扇を使って涼をとっていると、起こす風そのものに秋の気配が混じっていることに気づいた感動を詠んでいます。風のわずかな触感から季節の確実な巡りを捉えた、芭蕉らしい繊細な感覚が光る名句です。
初風や野中の松の一本
小林一茶【現代語訳】秋の初風が吹いている。広々とした野原の中に、ただ一本立っている松の木をかすめて吹き抜けていく。\n【鑑賞】何もない広大な野原にぽつんと立つ一本の松と、そこに吹き渡る秋の最初の風を捉えた句です。一茶ならではの孤独感や無常観が、初秋の澄んだ空気感とともに簡潔な風景描写の中に凝縮されています。

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