花とり日

花とり日

はなとりび

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意味・由来

「花とり日(はなとりび)」とは、秋に綿(わた)の実がはじけて顔を出した白い綿花を摘み取る日のことです。かつて綿の栽培が盛んだった日本の農村では、綿の実から現れる繊維を「花」と呼び、綿摘みの作業を「花とり」と言いました。晩秋の澄み渡る秋晴れの空の下、湿気を嫌う綿を摘むために家族や村人が総出で野良に出る、のどかで活気ある収穫の情景を指す生活の季語です。

この季語で詠むコツ

「花とり日」という言葉には、秋の日差しや穏やかな気候(日和)の明るさと、収穫の喜びが漂います。単に農作業の大変さを詠むのではなく、からりと晴れた秋空、心地よい日差し、作業する人々の姿や手元の温もりなどを捉えると実感がこもります。また、日暮れの早まりや、作業を終えた夕暮れの空の冷気など、移ろいゆく秋の時間の流れと対比させるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚的な白や光を表す言葉(「日ざし」「真白」「陽炎」「日暮れ」など) ・人の営みや道具に関する言葉(「母」「児(こ)」「籠(かご)」「笠」「指先」など) ・秋の澄んだ空気や自然(「秋晴」「薄日」「鵙(もず)」「茜空」など)

花とり日」の俳句例 (3件)

花とりや笠きていづる賤が妻
与謝蕪村【現代語訳】綿の花を摘む日和となったので、笠をかぶって綿畑へと出かけてゆく身分の低い農家の妻よ。 【鑑賞】「賤(しず)が妻」と詠みつつも、その姿は清貧でどこか絵画的な美しさを湛えています。秋の澄んだ陽光のなか、素朴な編み笠を被って収穫へと向かう農婦の慎ましやかで健気な営みが、蕪村らしい鮮やかな情景描写として立ち上がっています。
花とりや朝露おもき綿畠
正岡子規【現代語訳】綿を摘み取る朝であることよ。綿畑の株には朝露がたっぷりと降りて重たげである。 【鑑賞】綿摘みは日が昇り、露が乾いてから本格的に行われますが、朝の早い時間に畑へ出た時のしっとりとした情景を写生した句です。「朝露おもき」という把握に、これから始まる一日への期待と、触れた時のずっしりとした冷たさが実感として伝わってきます。
花とりの手もとに落ちて日照雨かな
飯田蛇笏【現代語訳】綿を摘み取るその手元に、きらきらと光りながら天気雨(そばえ雨)が落ちてきたことだ。 【鑑賞】よく晴れた秋空の下で黙々と綿花を摘んでいると、不意にパラパラと日照雨が降ってきた瞬間を捉えています。白い綿花と、光る雨粒の対比が非常に美しく、山里の自然の移ろいやすさと農作業の臨場感が見事に融け合っています。

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