蜂屋柿

蜂屋柿

はちやがき

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意味・由来

「蜂屋柿(はちやがき)」は、美濃国蜂屋村(現在の岐阜県美濃加茂市蜂屋町)を原産とする大ぶりな渋柿の品種で、晩秋の季語です。釣鐘のような堂々とした形状が特徴で、古くは平安時代より朝廷に献上され、織田信長や徳川家康など時の天下人にも重用されたことから「堂上蜂屋柿(どうじょうはちやがき)」の名で珍重されてきました。生では極めて渋みが強いですが、丁寧に皮を剥いて天日と寒風に晒すことで、黄金色に輝く濃厚で上品な甘味の最高級干し柿へと生まれ変わります。

この季語で詠むコツ

蜂屋柿を詠む際は、そのずっしりとした「大きさ・重厚感」や、干し柿へと熟成していく「手仕事・山里の風情」に着目するのがポイントです。青く澄み渡った晩秋の空の下、民家の軒先や干し場に並んで吊るされる飴色の連柿の景色は、季節の深まりを象徴する格好の題材となります。また、干し柿としての芳醇な甘みだけでなく、まだ渋味を蓄えた実の引き締まった姿や、歴史のロマン・美濃の風土感を背景に響かせることで、格調高い一句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 風景・場所:軒端(のきば)、美濃路、山里、小春日、青空、格子戸
  • 動作・状態:吊るす、連(つら)なる、飴色、ずしりと、風に晒す、渋抜く
  • 情緒・時間:深秋、陽だまり、古刹、旅情、暮色

蜂屋柿」の俳句例 (3件)

渋といふ字の口多き蜂屋柿
横井也有【現代語訳】「渋」という漢字には口という部首が四つもあるが、この蜂屋柿の強烈な渋さを見ればなるほどと頷けることだ。 【鑑賞】江戸中期の尾張の俳人・横井也有によるユーモアと機知に富んだ一句。「渋」の旧字や筆文字に見られる複数の「口」に着目し、干して甘くなる前の蜂屋柿が持つ強烈な渋みを、字形遊びと重ね合わせて軽妙に表現しています。
蜂屋柿ぶらりと下る軒端かな
正岡子規【現代語訳】大ぶりな蜂屋柿が、民家の軒先にぶらりと吊るされている秋の風景であることよ。 【鑑賞】特産である大粒の蜂屋柿が干し柿として軒先に吊るされている、のどかな晩秋の景を写生した一句です。「ぶらりと下る」という平明で素直な描写の中に、柿の実のずっしりとした重みと、穏やかな山里の時間の流れが鮮やかに捉えられています。
蜂屋柿喰ひつつ越すや鈴鹿山
正岡子規【現代語訳】美味な蜂屋柿を味わいながら、険しい鈴鹿の山道を越えていくことだ。 【鑑賞】大の柿好きとして知られる子規が、旅路の途中で詠んだ旅情豊かな句です。渋を抜いて見事な甘味となった蜂屋柿の豊かな味わいと、山越えの心地よい疲労感が響き合い、晩秋の澄んだ空気感とともに旅の充足感が伝わってきます。

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