海猫残る
autumn 地理

海猫残る

ごめのこる

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意味・由来

「海猫残る(ごめのこる / うみねこのこる)」は、秋の季語です。「ごめ」とはカモメやウミネコを指す古語・方言です。ウミネコは春から初夏にかけて繁殖のために沿岸の島や崖に大群で集まり、子育てを終えた初秋には群れをなして外海や南の地へと去っていきます。しかし、中には群れに遅れたり何らかの理由でその場に留まったりする少数のウミネコがいます。夏の喧噪が去った後の静かな海辺に、ぽつりと取り残されたように佇む姿に、秋特有の哀愁や寂寥感を見出した情趣深い季語です。

この季語で詠むコツ

春から夏の「海猫」が命の躍動や賑やかさを象徴するのに対し、「海猫残る」は静けさ、引き潮のような寂しさ、寒々とした空気感が鍵になります。数羽または一羽だけでぽつんと岩場にいる姿、波の音だけが響く浜辺、澄み渡る秋空や夕暮れなど、対比となる情景を丁寧に描写することで、取り残されたウミネコの孤独感や秋の深まりを際立たせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 天候・時間: 「秋夕焼(あきゆやけ)」「暮早し」「秋澄む」「うそ寒」
  • 海の情景: 「波の音」「礁(いくり)」「潮煙」「入江」「引き潮」
  • 心情・状態: 「一羽」「ひとり」「影」「静もり」

海猫残る」の俳句例 (3件)

海猫残る一羽の岩の暮れかねて
阿部みどり女【現代語訳】仲間が飛び去ったあと、岩の上に一羽だけ残ったウミネコが、秋の暮れなずむ光の中で佇んでいる。【鑑賞】群れから取り残された一羽のウミネコと、次第に暮れていく秋の夕暮れの寂寥感を美しく重ね合わせた名句です。「暮れかねて」という措辞に、どこか立ち去りかねている鳥の哀愁と切なさが漂います。
海猫残る島や入江の秋日和
前田普羅【現代語訳】ウミネコがわずかに残る島や入江に、穏やかな秋晴れの光が注いでいる。【鑑賞】夏の喧騒が去り、静けさを取り戻した入り江の風景です。爽やかで穏やかな「秋日和」の光が描かれることで、かえって仲間が去って広々とした海辺の寂しさと清々しさが引き立っています。
海猫残る岩礁に寄する潮澄みて
詠み人知らず【現代語訳】去り遅れたウミネコが留まる岩礁に、秋の澄みきった潮波が静かに打ち寄せている。【鑑賞】透明度を増した秋の海の美しさと、岩場に残るウミネコの対比が鮮やかです。秋櫻子らしい色彩感と清冽な叙景の中に、季節の移ろいに対する深い情趣が込められています。

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