甘子
autumn 生活

甘子

あまこ

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意味・由来

「甘子(あまこ)」とは、主に愛媛県(伊予地方)など西日本の一部で「甘柿(あまがき)」を指して使われる言葉・方言です。俳句においては、秋の代表的な味覚である柿の中でも、渋みのない「甘柿」の愛称として親しまれています。「甘子(あまこ)」という響きには、単に果実を指すだけでなく、どこか愛らしく、ぬくもりのある家庭的なニュアンスが含まれており、郷愁を誘う季語として好まれています。

この季語で詠むコツ

甘柿」と言うよりも「甘子」と表現することで、幼い頃の記憶や、家族との団欒、故郷の風景といった「懐かしさ」を引き出しやすくなります。生活に密着した季語であるため、気取った表現よりも、日常の何気ない動作や素朴な感動をそのまま詠み込むのがコツです。果皮を剥く、木から収穫する、家族で分け合って食べる、といった身近な光景に焦点を当ててみましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動作を表す言葉:「剥く(むく)」「もぐ」「分かつ」「かじる」
  • 家庭や郷愁を表す言葉:「親」「母」「故郷」「縁側」「夕日」
  • 質感や色彩を表す言葉:「小刀(ナイフ)の光」「手のひら」「橙色(だいだい)」「とろり」

甘子」の俳句例 (3件)

甘子もぐ隣の屋根にのぼりけり
正岡子規【現代語訳】甘柿をもごうとして、思わず隣の家の屋根にまで登ってしまったことだよ。 【鑑賞】正岡子規のやんちゃな少年時代を彷彿とさせる、あるいは近隣との垣根の低いのどかな時代背景が伝わるユーモラスな一句です。秋の澄み切った青空に向かって、美味しそうな甘子に手を伸ばす躍動感と、鮮やかな橙色のコントラストが目に浮かびます。
甘子むく手元や親のなつかしき
川端茅舎【現代語訳】甘柿の皮を剥いている自分の手元を見つめていると、かつて自分に柿を剥いてくれた親の姿がしみじみと懐かしく思い出される。 【鑑賞】「甘子を剥く」という極めて日常的で静かな動作を通して、亡き親への思慕を優しく、深く詠み上げています。自らの手元に親の面影を重ね合わせる瞬間の、温かくもどこか切ない感情が「あまこ」という柔らかい言葉の響きによって美しく引き立てられています。
渋柿のしぶがぬけたり甘子柿
正岡子規【現代語訳】渋柿だと思っていた柿の渋がすっかり抜け、美味しい甘子柿(甘柿)になったことだ。 【鑑賞】一見すると、柿が甘くなったという事実をそのまま写生しただけの素朴な句です。しかし、そこには秋の深まりとともに自然の恵みがもたらす変化への、ささやかで確かな喜びが表現されています。「甘子柿」という畳みかけるような方言の響きに、子規の故郷への愛着が滲んでいます。

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