秋の戸

秋の戸

あきのと

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意味・由来

「秋の戸(あきのと)」とは、秋の季節の家の戸や戸口のこと、またそこに漂う秋ならではの風情を指す季語です。夏のあいだ風通しのために開け放たれていた戸口も、秋風が立ち冷気を感じるようになると閉ざされる時間が早くなります。開ければ澄んだ秋の光や虫の音が満ち、閉ざせば静まり返った孤独や寂寥感が際立つなど、戸の一開一閉に季節の移ろいと人々の暮らしの陰影が色濃く反映されます。

この季語で詠むコツ

「戸」という生活に密着した道具を通して、秋の気配や人の心情を表現するのがポイントです。早くなった日暮れに戸を閉める動作、戸の隙間から吹き込む冷たい風、木や桟(さん)のきしむ乾いた音など、視覚・触覚・聴覚を繊細に捉えると効果的です。また、戸の「内(室内の暮らし・孤独)」と「外(秋の自然・夜気)」の対比を意識すると、句に奥行きとドラマが生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・動作:閉ざす、開く、繰る(雨戸を繰る)、鎖(さ)す、叩く、軋む ・情景・音:夕日、黄昏、月影、虫の声、秋風、夜気 ・暮らし:隣家、灯火、訪れ、静寂、一人居

秋の戸」の俳句例 (3件)

叩かれて昼のひらきし秋の戸や
炭太祇【現代語訳】誰かに外から叩かれて、昼間から閉ざされていた秋の戸が開けられたことよ。【鑑賞】昼間から戸を閉め切って物静かに過ごしていた住まいが、思いがけない来客によって秋の光の中に開かれた情景です。秋特有の静けさと、人の訪れによるかすかな生気の対比が味わい深い一句です。
秋の戸を繰る音きこゆ隣より
正岡子規【現代語訳】隣の家から、秋の夕暮れに雨戸を繰り出して閉める音が聞こえてくる。【鑑賞】日が落ちて急に冷え込んできた夕暮れ時、隣家で雨戸を閉める乾いた音が静寂の中に響きます。生活の音を通して、秋の深まりと日暮れの早さ、そして一抹の寂しさを巧みに描いています。
淋しさにまた銅鑼打つや秋の戸に
夏目漱石【現代語訳】寂しさに耐えかねて、秋の戸口でまたしても銅鑼を打ち鳴らすことだ。【鑑賞】秋の訪れとともに深まる心中の孤独や寂寥感を、戸口で銅鑼を鳴らすという強い聴覚的動作で表現しています。漱石らしい漢詩調の重厚な憂愁と、秋の空気感が鮮烈に響き合っています。

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