油菊

油菊

あぶらぎく

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意味・由来

油菊(あぶらぎく)は、晩秋の山野や道端、土手などに自生するキク科の多年草です。「泡菊(あわぎく)」や「島菊(しまぎく)」とも呼ばれます。秋が深まる頃、枝先に直径1.5センチほどの小さな鮮やかな黄色い花を群がり咲かせます。花や葉に特有の油分を含み、古くは油を絞って灯火用に用いたり、油に浸して傷薬などの民間薬として重宝されたことから「油菊」の名がつきました。大輪の園芸菊とは対照的な、野趣に富んだ素朴で力強い姿が特徴の晩秋の季語です。

この季語で詠むコツ

山裾の傾斜地や石垣の間など、やや寂しく乾いた晩秋の風景の中で、ひときわ明るく咲く黄色い小花の群れを捉えるのがポイントです。華やかな菊ではなく「野の菊」としての哀愁や逞しさ、日暮れの早さ、秋冷の空気感と組み合わせると情緒が深まります。花自体の小ささや密集感、特有の香気や油気、暮れゆく光の中での黄色い輝きに着目して詠むと効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色や光: 夕日、日暮れ、黄、木漏れ日、西日
  • 場所・風景: 土手、石垣、畦道、山裾、古寺、道祖神
  • 気候・情景: 秋冷、夕風、乾く、暮れ易し、影

油菊」の俳句例 (3件)

油菊日ぐれの土のあたたかき
原石鼎【現代語訳】油菊が咲くあたり、日暮れどきになっても昼間の陽射しを吸った土がまだあたたかい。【鑑賞】晩秋の冷え込む夕暮れ時、自生する油菊の足元の土に残る微かなぬくもりを肌で感じ取った句です。黄色い油菊の持つ素朴な温かみと、大地のぬくもりが重なり合い、秋の終わりの侘しさの中に確かな情愛と安らぎが描き出されています。
油菊咲いて日和の定まらぬ
西島麦南【現代語訳】油菊が咲く季節になり、秋の空模様は晴れたり曇ったりと定まらない。【鑑賞】晩秋の変わりやすい天候(秋筋・時雨模様など)と、野に咲く油菊の取り合わせです。天候が不安定な日々の中で、小さくてもひたむきに黄色い花を咲かせる油菊の姿が、季節の移ろいとともに鮮明に浮かび上がります。
油菊咲いて日暮の早きかな
村上鬼城【現代語訳】油菊が咲いて、日暮れの訪れが本当に早くなったことだなあ。【鑑賞】油菊の開花によって晩秋の深まりを実感し、「秋の日は釣瓶落とし」と言われるような急激な日暮れの早さを詠んでいます。夕暮れの薄暗がりの中で、油菊の黄色い小花だけがぽっと灯りのように浮かび上がる情景が目に浮かびます。

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