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「せみ」 の検索結果: 計 20件

季語 (20)

翡翠

summer

かわせみ

意味・由来 翡翠(かわせみ)は、水辺に生息するカワセミ科の小鳥で、「川蝉」や「魚狗」などの漢字も使われます。背中が鮮やかなコバルトブルー、腹部が鮮やかな橙色をしており、その美しさから「水辺の宝石」とも称され、鉱物のヒスイと同じ漢字が当てられています。一年を通じて水辺で見られる留鳥ですが、繁殖期にあたり、青葉や眩しい日差しの中で水面を低く飛ぶ姿がひときわ鮮烈であることから、俳句では夏の季語とされています。 この季語で詠むコツ 翡翠を詠む際は、その「鮮烈な色彩」と「目にも止まらぬ素早い動き」を捉えることがポイントです。単に「綺麗だ」「美しい」と主観で述べるのではなく、静止している姿から一瞬で水に飛び込む動の瞬間や、水飛沫の白さ、周囲の新緑とのコントラストを描くと情景が立ち上がります。川の杭にじっと佇む鋭い眼差しや、一筋の青い光となって飛び去る余韻など、時間の一瞬を切り取る意識を持つと引き締まった句になります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・渓流、早瀬、淵、水飛沫、水鏡、川杭(水辺の情景を表す言葉) ・青葉、若葉、岩清水、夏木立(初夏から盛夏を彩る夏の情景) ・一閃、一筋、鋭き、青き影、閃光(動きや光、色彩を捉える言葉)

蟬の殻

summer

せみのから

意味・由来 蝉が幼虫から成虫へと羽化して飛び立ったあとに、木の幹や葉の裏などに残された抜け殻のことです。古典では「空蝉(うつせみ)」とも呼ばれ、現世の儚さや人の命の移ろいを象徴する言葉としても用いられてきました。夏の盛り、激しく鳴き続ける蝉の力強さとは対照的に、抜け殻には独特の静けさと透明感があり、生命が脱皮して新しい世界へ飛び立っていった痕跡としての趣があります。 この季語で詠むコツ 蟬の殻そのものは動きませんが、その殻を残して飛び去った蝉の激しい鳴き声や、夏の眩しい日差しといった「動」の要素と対比させると句に奥行きが生まれます。また、どのような場所にしっかりと爪を立てて残されていたか(庭の植木、板塀、簾など)という具体的な状況を描写したり、光に透ける飴色や脆さといった殻そのものの質感・色彩に焦点を当てたりするのが効果的です。 相性のいい言葉・取り合わせ ・場所や物:松の幹、庭石、裏木戸、古簾、子の掌 ・状態や動作:爪立つ、透き通る、風に揺るる、からからと、見出す ・情景や夏の言葉:強い日差し、木漏れ日、夕立の前、青空

深山翡翠

summer

みやましょうびん

意味・由来 「深山翡翠(みやましょうびん)」は、人里離れた山奥の渓流や深い森に生息するカワセミ科の鳥を指す夏の季語です。一般的に清流で見られる翡翠(かわせみ)に比べ、より奥深い自然の中に姿を現します。木々の深い緑の中で、水面をかすめて飛ぶ鮮やかな羽の輝きや、静寂を切り裂くような美しい鳴き声は、山深い夏の自然の神秘を感じさせます。都会の喧騒を離れた幽玄な山谷の象徴として愛されています。 この季語で詠むコツ 深山翡翠そのものの姿を詳細に描写するだけでなく、鳥を取り巻く「環境」や「気配」を詠み込むのが上達の秘訣です。冷たい水しぶき、鬱蒼とした青葉、木漏れ日の陰影など、山奥ならではの冷涼感や静寂を対比させることで、一瞬きらめく鳥の存在感がぐっと際立ちます。見かけた一瞬の動きや、声だけが響く山の静けさを切り取ってみましょう。 相性のいい言葉・取り合わせ ・渓流(けいりゅう/無季) ・苔(こけ/無季) ・木漏れ日(こもれび/無季) ・青嵐(あおあらし/夏) ・万緑(ばんりょく/夏) ・飛沫(しぶき/無季)

汗匂ふ

summer

あせにおう

意味・由来 「汗匂ふ(あせにおう)」は、夏の暑さの中でかいた汗から立ち上る匂いを捉えた三夏の季語です。単に「汗」というだけでなく、嗅覚に直接訴えかける強い実感を伴っています。炎天下での激しい労働や運動のあとに漂う匂い、あるいは身近な人の肌や衣服からかすかに香る匂いなど、人間の生き生きとした生命力や生々しい生活感を深く感じさせる季語です。 この季語で詠むコツ 単に「不快な匂い」として片付けてしまうのではなく、その匂いが生まれた背景や、匂いに触れたときの心の動きを丁寧に描写するのがコツです。炎天下で働く人のたくましさ、稽古や部活動に打ち込む若者の熱気、あるいは夕暮れの安らぎといった具体的な場面と結びつけると、季語が生きてきます。嗅覚に訴える言葉だからこそ、視覚的な情景や触覚の描写と取り合わせることで、より立体感のある一句になります。 相性のいい言葉・取り合わせ 汗がにじむ情景を具体化する言葉や、匂いが際立つ場面を描く言葉とよく合います。 ・動作や生活の言葉(無季):白シャツ、手ぬぐい、野良仕事、土埃、素肌、力瘤、寄り添ふ ・夏の季語との取り合わせ:蝉時雨(せみしぐれ)、炎天下(えんてんか)、夕立(ゆうだち)、青葉(あおば)

鹿の子翡翠

summer

かのこしょうびん

意味・由来 「鹿の子翡翠(かのこしょうびん)」とは、カワセミ科の野鳥である「山翡翠(やませみ)」の別称、あるいはその特徴的な羽の模様に着目した呼び名です。翡翠の仲間は水辺の鳥として夏の季語に分類されます。鹿の子翡翠は一般的なカワセミよりも一回り大きく、体全体に鹿の子絞りのような白と黒の細やかな斑点模様を持ち、頭には立派な冠羽を備えています。山深い渓流や湖沼に生息し、水面を見下ろす木の枝から一気に飛び込んで魚を捕らえます。深山の静けさと野生の美しさを併せ持つ、風情豊かな夏の季語です。 この季語で詠むコツ 青く光る宝石のような翡翠とは異なり、白黒の端正な鹿の子模様が醸し出す渋みと気品を表現するのがポイントです。山奥のひんやりとした空気、激しく流れる渓流、白く砕ける水飛沫といった自然の情景と取り合わせることで、鳥の凛とした佇まいが際立ちます。「かのこしょうびん」という七音の優雅な響きを活かし、水面に飛び込む一瞬の動意や、岩陰で獲物を狙う静の姿を対比させて詠むと、臨場感あふれる句になります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・渓谷、滝壺、早瀬、水飛沫、岩肌、深林(渓流の冷涼な風景を描く言葉) ・冠羽、急降下、水面を射る、枝を蹴る(野鳥の躍動的な動作や姿を捉える言葉) ・清冽、深緑、木漏れ日(夏の水辺の清々しさを強調する言葉)

土用蜆

summer

どようしじみ

意味・由来 「土用蜆(どようしじみ)」とは、夏の土用のころに獲れるシジミのことです。冬の「寒蜆」と並んで身が太り、一年の中で最も美味しい旬の一つとされています。昔から「土用蜆は腹薬」と言われ、厳しい暑さで疲れた胃腸を整え、精をつける滋養強壮の食べ物として庶民に親しまれてきました。夏の盛りの生活感や、健康への願いが込められた味わい深い季語です。 この季語で詠むコツ 猛暑による身体の疲れや、それを癒やす食卓の風景を描くのが基本です。台所から立ち上る熱い味噌汁の湯気、器の中でカチカチと触れ合う貝殻の音、あるいは砂を吐かせる盥(たらい)の水の涼しさなど、五感を働かせた生活の具体的な描写を取り入れましょう。夏の土用の重苦しい暑さと、身体に染み渡る素朴な滋味との対比を意識すると、実感がこもった一句になります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・朝餉(あさげ)、味噌汁、椀、盥(たらい)などの台所や食卓の道具・情景 ・熱気、湯気、瀬田川(名産地)、砂を吐くなどの動作や状態 ・青簾(あおすだれ)、汗、土用波、蝉時雨(せみしぐれ)などの夏の情景

山蟬

summer

やませみ

意味・由来 「山蟬(やませみ)」は、山奥の森や渓谷の木立などに生息し、鳴いている蝉のことです。エゾゼミやコエゾゼミなど山地を好む特定の蝉を指すこともありますが、広く「人里離れた深山で鳴く蝉」全般を情緒を込めて呼ぶ季語です。都会や平地で響き渡る蝉時雨のような喧騒とは異なり、山蝉の鳴き声は、山深い森の厳けさや冷涼感、そしてかえってあたりの静けさを際立たせる趣を持っています。 この季語で詠むコツ 山蝉の声を直接描写するだけでなく、山特有の自然環境や空気感を取り合わせるのがポイントです。深く茂る木立、険しい岩肌、冷たい谷川の流れなどを詠み込むことで、山深い空間の広がりが生まれます。また、山道を歩く旅の孤独感や、ふと立ち止まった瞬間の静寂と組み合わせるのも効果的です。なお、鳥の「ヤマセミ」と混同されないよう、木々の葉の揺れや鳴き声の響きなど、虫の蝉であることが自然と伝わる工夫をすると読者に情景が鮮明に届きます。 相性のいい言葉・取り合わせ 渓流、深林、岩肌、杣道(季節を問わない山や自然の言葉) 青嶺、翠雨、清水、木陰(涼しさや豊かな緑を感じさせる夏の言葉)

水中り

summer

みずあたり

意味・由来 「水中り(みずあたり)」は、三夏(夏全般)に分類される生活の季語です。暑い盛りに冷たい生水を急に飲みすぎたり、旅先などで普段と異なる水質の水を口にしたりして、胃腸を壊してしまうことを指します。冷蔵や衛生の設備が整っていなかった昔は、夏の旅や日常生活において特に警戒された身近な体調不良でした。暑さで体力を消耗している夏の弱り目をリアルに映し出す季語です。 この季語で詠むコツ 単に「腹が痛い」「苦しい」といった症状そのものを直接詠むと、説明的で生々しい句になりがちです。水中りによって旅先の宿でひとり寝込んでいる心細さや、障子の外に照りつける強い夏の日差し、看病してくれる人が差し出してくれた白湯の温もりなど、周囲の静けさや情景を取り合わせましょう。弱っている自分と、外で盛んに輝く夏の命との鮮やかな対比を描き出すと、深い詩情が立ち上がります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・状況やもの:旅枕、素宿、白湯、寝床、土間、薬包、薄暗がり ・様子や動作:伏す、身じろぎ、うつつ、昏々と ・夏の言葉:団扇(うちわ)、蚊遣火(かやりび)、青簾(あおすだれ)、蝉時雨(せみしぐれ)

汗水

summer

あせみず

意味・由来 「汗水(あせみず)」は、水のように激しく流れ落ちる大量の汗のことを指す夏の季語です。ただ肌が汗ばむ程度ではなく、全身からしたたり落ちるほどの激しい汗を表し、「汗水流して働く」という慣用句があるように、真夏の厳しい暑さの中で一生懸命に労働や作業に励む姿と深く結びついています。暑さに耐えながら懸命に生きる人間の力強さや、労働の尊さ、肉体の躍動感を生き生きと描き出す言葉です。 この季語で詠むコツ 「汗水」を使うときは、単に「暑くて大変だ」という愚痴にするのではなく、作業に打ち込む真摯な姿勢や、身体の具体的な動きを伴わせることが大切です。額から顎へと伝う汗のしずく、濡れそぼるシャツ、日焼けした腕など、視覚や触覚に訴える具体的な描写を取り入れましょう。また、一仕事を終えた瞬間の爽快感や脱力感、あるいは冷たい水を飲む場面などを取り合わせると、季語の持つ生命感がより一層引き立ちます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・道具や作業の情景:手拭(てぬぐい)、金槌、麦藁帽子(むぎわらぼうし)、荷車、草引き ・身体の動きや感覚:滴る(したたる)、拭う、背中、額、塩の味 ・夏の無季・夏の生活語:井戸水、木陰、冷水(ひやみず)、坂道、土埃

早生蜜柑

autumn

わせみかん

意味・由来 早生蜜柑(わせみかん)とは、秋の初めから仲秋にかけて、通常の温州蜜柑よりも早い時期に出回る蜜柑のことです。冬の風物詩である完熟した蜜柑とは異なり、果皮にほんのりと青みが残り、爽やかな酸味と果汁の瑞々しさが際立っているのが大きな特徴です。まだ暑さの残る日や、澄み渡る秋晴れの空気の中で店頭に並び始め、人々に新しい季節の訪れを知らせてくれる秋の果物です。 この季語で詠むコツ 冬の蜜柑との違いをはっきりと意識して詠むことが上達への近道です。冬のこたつで食べる蜜柑の「団欒」や「甘さ」に対して、早生蜜柑は「青さ」「酸っぱさ」「若々しい香り」が持ち味です。皮を剥いた瞬間に立ち上るツンとした清々しい香りや、果汁が口いっぱいに広がる刺激、指先に残る青い柑橘の匂いなどを五感を使って具体的に描写すると、生き生きとした句になります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・秋晴(あきばれ・秋の季語) ・秋気(しゅうき・秋の季語) ・青空、空(無季) ・指先、爪(無季) ・竹籠、皿(無季) ・旅鞄、机(無季)

空蟬

summer

うつせみ

意味・由来 「空蟬(うつせみ)」とは、蝉が羽化して飛び立った後に残された「抜け殻」のことです。元々は「現身(うつしみ=この世に生きている人間)」という言葉から転じたもので、仏教的な無常観と結びつき、中身の抜けた蝉の殻を指すようになりました。確かな生命の痕跡をとどめながらも、中は透明で空っぽという不思議な存在感があり、夏の日の静けさや命の儚さを象徴する風情ある季語です。 この季語で詠むコツ 空蟬は、形が完全なまま残されていることへの驚きや、触れたときの軽さ、もろさに焦点を当てると詩情が生まれます。ただ「抜け殻を見つけた」と報告するのではなく、樹皮にしっかりと爪を立てている力強さと、魂が去ったあとの虚しさという「対比」を意識してみましょう。また、周囲の激しい蝉時雨との対比によって、空蟬の持つ独特の静寂を際立たせるのも効果的な手法です。 相性のいい言葉・取り合わせ ・松の幹、古土塀、網戸(掴まっている場所を表す言葉) ・木漏れ日、夕暮、微風(静かな夏の光や空気感を表す言葉) ・手のひら、指先、爪痕(触覚や微小な動きを捉える言葉)

山翡翠

summer

やませみ

意味・由来 山翡翠(やませみ)は、山あいの清らかな渓流や湖沼に生息するカワセミ科の野鳥です。一般的な翡翠(かわせみ)よりも一回り大きく、頭部にある立派な冠羽と、白と黒の細かい鹿の子模様が特徴です。深い緑に覆われた夏の山中で、水面を見下ろす枝や岩に止まり、魚を狙ってダイビングする姿が見られます。人里離れた深山幽谷の清冽な空気感や野趣を象徴する存在として、夏の季語に分類されています。 この季語で詠むコツ 山翡翠の持つ「白と黒の幾何学的な美しさ」と、周囲の「深い森の緑や清流の青」との色彩の対比を意識すると、情景が鮮やかに立ち上がります。非常に警戒心が強い鳥であるため、静寂を破る鋭い鳴き声や、一瞬水面を蹴って飛び去る動き、水飛沫といった動と静のコントラストを捉えると、より臨場感のある引き締まった句になります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・渓流、瀬音、巌、水煙(清涼な水辺を思わせる言葉) ・深緑、万緑、木陰、青嵐(夏のみずみずしい山の情景) ・飛沫、潜る、一瞬(鳥の鋭い動作を表す言葉)

昼寝

summer

ひるね

意味・由来 「昼寝」は夏の暑い盛りに、体力を回復させたり、耐えがたい暑気と気だるさから逃れるために昼間に横になって眠ることを指します。古くから夏の健康法や生活の知恵として親しまれてきた生活季語です。単に睡眠をとるだけでなく、昼下がりの静けさ、熱気のこもった部屋、目が覚めたときの心地よい脱力感など、独特の夏の情緒を豊かに含んでいます。 この季語で詠むコツ 「昼寝をした」という事実だけを詠むと平凡になりがちです。寝ている前後の感覚や、五感で捉えた周囲の様子を具体的に描くことがポイントです。例えば、畳のい草の匂いや肌触り、遠くから微かに聞こえる物音、扇風機の首振りのリズム、あるいは目覚めたときの喉の渇きや額の汗などを取り合わせると、夏の昼のけだるさと安らぎが生き生きと立ち上がってきます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・畳(たたみ)、縁側(えんがわ)などのくつろぎの場所 ・扇風機(せんぷうき)、団扇(うちわ)などの涼をとる道具 ・麦茶(むぎちゃ)、冷茶(れいちゃ)などの喉を潤すもの ・蝉時雨(せみしぐれ)、風鈴(ふうりん)などの夏の音

緑蔭

summer

りょくいん

意味・由来 「緑蔭(りょくいん)」とは、青葉が生い茂る木々の下につくられる「木陰」のことです。夏の季語で、「緑陰」とも表記されます。真夏の照りつける強い日差しを遮り、心地よい涼感をもたらしてくれる木々の陰を指します。単なる日陰というだけでなく、濃い緑の葉が重なり合う豊かな生命力と、その懐に抱かれるような安らぎや静寂の風情を含んだ美しい言葉です。 この季語で詠むコツ 「涼しい」と直接言わずに、五感を使ってその場の空気感を伝えるのが上達のコツです。例えば、木々の葉を抜けて肌をなでる風の心地よさ、木漏れ日の揺らめき、あるいは外の炎天下との明るさや温度の対比を描くと、緑蔭の存在感が鮮やかに引き立ちます。また、ベンチで一息つく様子や本を開く姿など、具体的な動作を取り合わせることで、生活感や物語性を豊かに表現することができます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・憩う(いこう)、まどろむ、腰掛ける、深呼吸 ・ベンチ、石段、広場、小道 ・木漏れ日、微風(そよかぜ)、静寂 ・蝉時雨(せみしぐれ)、白靴(しろぐつ) ※強い日差しや暑さを連想させる言葉と対比させたり、穏やかな休息の情景と組み合わせるのがおすすめです。

昼寝覚

summer

ひるねざめ

意味・由来 「昼寝覚(ひるねざめ)」は、夏の厳しい暑さから逃れるためにとった昼寝から目覚めた瞬間の、独特な感覚や情景を表す季語です。江戸時代から「昼寝」とともに親しまれてきました。単に眠りから覚めることだけでなく、目覚めたときの頭のぼんやりとした重さ、肌にまとわりつく汗の感触、あるいは一瞬自分がどこにいるのか分からなくなるような茫漠とした心理状態までを含みます。 この季語で詠むコツ 昼寝から覚めた瞬間の「五感の刺激」を丁寧に切り取ることが上達の近道です。目を開けたときに見えた天井の木目や吹き抜ける風、外から聞こえてくる蝉の声や遠くの物音、口の渇きやだるい手足など、具体的な感覚を描写すると実感がこもります。また、目覚めた直後の「静寂」と、徐々に現実へ戻っていく「日常のざわめき」の対比を意識して詠むと、余韻のある奥深い句になります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・風鈴、簾(すだれ)、扇風機 ・蝉時雨(せみしぐれ)、遠雷(えんらい) ・畳、柱、天井、麦茶 ・手足の重さ、白昼の光、静けさ

叫出冬

summer

きょうしゅつとう

意味・由来 「叫出冬(きょうしゅつとう)」は蝉(せみ)の異称の一つであり、仲夏から晩夏にかけて用いられる夏の季語です。文字通り「鳴いて冬を呼び出す」という意味合いを持ち、夏の盛りに激しく鳴き立てる蝉の声を、巡り来る寒涼の季節を呼び寄せているかのように捉えた、中国の呼称や風土的な発想に由来しています。灼熱の太陽の下で命の限り声を張り上げる蝉の生態を、やがて訪れる季節の推移と結びつけた、力強くもどこか無常感の漂う表現です。 この季語で詠むコツ 「きょうしゅつとう」という漢語調の重厚な響きを活かすのがポイントです。一般的な「蝉」や「油蝉」と詠むよりも、切迫した命の激しさや、運命的な厳しさ、神秘的な陰影を句に持たせることができます。夏の暑熱の強烈さや、鬱蒼とした木立の静けさと対比させ、鳴き声そのものが持つ熱量や迫真の情景を際立たせるように取り合わせると効果的です。 相性のいい言葉・取り合わせ 【夏の言葉】炎天、青空、日盛り、深緑、木陰、万緑 【無季の言葉】大樹、古寺、木肌、石段、静寂、木霊、祈り、幹、影、熱気

残る蟬

autumn

のこるせみ

意味・由来 「残る蟬(のこるせみ)」とは、秋の気配が深まり、大半のセミが命を終えて死に絶えた後も、なお生き残って鳴いているセミのことです。夏の盛りには耳を塞ぎたくなるほど騒がしかった蝉時雨が嘘のように消え去り、澄んだ秋風の中でぽつりぽつりと途切れがちに鳴く声には、独特の哀愁や無常感が漂います。夏の終わりを惜しむ感情と、迫り来る寒さに向き合う生き物の切なさが重なり合う、初秋から仲秋にかけての情趣深い三秋の季語です。 この季語で詠むコツ 「残る蟬」を詠む際は、夏のセミのような勢いや暑苦しさを描くのではなく、「寂寥感」や「命の灯火の儚さ」に焦点を当てることがポイントです。声の細さ、鳴きやんだ後のふとした静寂、あるいは影の長くなった夕暮れの光など、周囲の秋らしい環境と対比させることで季語の持つ情緒がぐっと際立ちます。また、弱々しい声だけでなく、去りゆく季節に抗うかのように力を振り絞って鳴く姿に人間味や人生の黄昏を重ねて描くのも効果的です。 相性のいい言葉・取り合わせ ・聴覚・静寂を強調する言葉(「静寂」「ひびく」「とぎれ」「かすか」) ・秋の光や影を表す言葉(「夕暮」「秋日」「長き影」「木漏れ日」) ・場所や自然の描写(「寺苑」「古道」「松風」「梢」)

蟬

summer

せみ

意味・由来 夏の暑さを象徴する昆虫です。種類によって鳴き声や出現時期が異なり、初夏のニイニイゼミから、盛夏のアブラゼミやミンミンゼミ、そして晩夏のツクツクボウシまで、その鳴き声の移り変わりは、夏の深まりと終わりを私たちに強く印象付けます。 この季語で詠むコツ 単に「うるさい」「夏らしい」とするのではなく、蝉の種類による鳴き声の質感の違いや、夕暮れ時にピタリと鳴き止む瞬間の静寂、あるいは抜け殻(空蝉)に宿る命の痕跡などに着目すると、独自の詩情が生まれます。 相性のいい言葉・取り合わせ 時候:炎熱、夕立 地理:老木、木下闇 生活:網戸、昼寝 傍題 初蝉(はつぜみ)、油蝉(あぶらぜみ)、みんみん、つくつく法師(つくつくぼうし)

袴能

summer

はかまのう

意味・由来 袴能とは、絢爛豪華な能装束を着ず、能面もつけずに、紋付羽織に袴姿の軽装で舞う能のことです。装束を重ねて面をつけると酷暑の舞台では耐え難い暑さとなるため、主に夏に行われたことから夏の季語となりました。面を用いない直面(ひためん)で演じられるため、演者の生身の表情や息遣い、研ぎ澄まされた所作の美しさがそのまま現れ、簡素でありながらも非常に引き締まった芸の深みを味わうことができます。 この季語で詠むコツ 装束を省いたことによる「涼やかさ」「潔さ」と、面がないからこそ際立つ「役者の真剣な眼差し」「緊迫感」の対比を描くのがポイントです。また、夏の舞台ならではの要素として、演者の肌に光る汗、足拍子の響き、周囲の蝉の声や吹き抜ける涼風などを取り合わせることで、五感に訴える鮮やかな情景が立ち現れます。格式ばらない軽やかさの中に宿る気迫を捉えましょう。 相性のいい言葉・取り合わせ ・白木舞台(しらきぶたい)、板敷(いたじき)、笛(ふえ)、鼓(つづみ) ・直面(ひためん)、眼差し(まなざし)、汗(あせ)、扇(おうぎ) ・青簾(あおすだれ)、蝉時雨(せみしぐれ)、風渡る(かぜわたる)、炎天(えんてん)

秋の蟬

autumn

あきのせみ

意味・由来 「秋の蟬(あきのせみ)」は、立秋を過ぎて秋に入ってからも鳴き残っている蝉のことです。「残る蝉」「秋蝉(しゅうせん)」とも呼ばれます。盛夏の頃の蝉しぐれのような圧倒的な激しさは消え失せ、朝夕の涼しい風の中で途切れ途切れに鳴く声には、どこか哀愁と命の儚さが漂います。季節の移ろいとともに命を終えようとする小さな命へのいとおしさと、深まりゆく秋の寂寥感を象徴する三秋の季語です。 この季語で詠むコツ 夏の蝉との対比を意識し、その「声の細さ」「弱々しさ」「間(ま)の長さ」に着目すると効果的です。また、蝉そのものの姿だけでなく、傾く秋の日差しや吹き抜ける涼風、静まり返った庭や山といった周囲の静寂な情景を取り合わせることで、蝉の声の寂しさを際立たせることができます。 相性のいい言葉・取り合わせ 光・影(夕日、秋日、木洩れ日、薄日) 風景・環境(静寂、寺院、古木、庭石) 聴覚・状態(とぎれとぎれ、かすか、衰ふ、鳴きやむ)