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「屠蘇の香」は、正月に無病息災や延命長寿を願っていただく薬酒「お屠蘇」から立ち上る、独特の芳香を指す新年の季語です。お屠蘇は、山椒、肉桂、白朮、桔梗など数種類の生薬を合わせた「屠蘇散」を日本酒や本みりんに浸して作られます。一般的な日本酒の香りとは異なり、薬草特有の清々しくスパイシーで甘やかな香りが特徴です。「悪鬼を屠り、魂を蘇生させる」という由来の通り、その香りを嗅ぐだけで心身が清まり、新たな年を迎えた実感が満ちてきます。
嗅覚という目に見えない感覚を詠む季語だからこそ、香りが漂う「空間の気配」や「人の所作」と結びつけるのが効果的です。例えば、朱塗りの盃を口元に近づけた瞬間の息づかいや、新春の冷たい空気の中にふわりと香りが広がる様子を描くと、情景が生き生きと立ち上がります。「めでたい」といった直接的な感想を述べるのではなく、香りに包まれた家族の和やかな表情や、凛とした部屋の静けさを切り取ってみましょう。
・器や道具:朱盃、銚子、漆器、白木、塗盆 ・新年の風物:初日、障子、畳の青さ、寒気、注連飾 ・動作や感覚:酌む、口寄す、袖引く、かすかに、満つ