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「野霧(のぎり)」とは、秋の朝夕に野原や田畑、草むらなどに立ち込める霧のことです。冷え込みが厳しくなる仲秋から晩秋にかけて、湿った地表の空気が放射冷却によって冷やされることで発生します。山間に立ち込める「山霧」や水辺の「川霧」に比べ、低く平らにどこまでも広がる風景が特徴です。茫漠とした野辺を包み込み、草花や人の姿を淡く隠してしまう様子は、秋特有のしっとりとした寂寥感や抒情を強く感じさせます。
野霧は視界を奪う存在であるため、「見えないもの」や「急に現れるもの」を描くのが効果的です。霧の向こうからかすかに聞こえてくる鳥の声や家畜の息遣い、足音といった「聴覚」を活かすと、霧の深さが引き立ちます。また、一面の白い霧と足元の枯草や実づく露といった「色彩・明暗の対比」、さらには霧が晴れゆく一瞬の光の移ろいに焦点を当てることで、平板になりがちな霧の風景に鮮やかな動きと奥行きを与えることができます。
・視覚を刺激する語:馬、牛、小道、野菊、灯影(ほかげ)、木立 ・聴覚を刺激する語:鐘、鳥の声、風の音、谺(こだま)、足音 ・情景を深める語:濃し、晴れゆく、白し、包む、淡し、湿り