錦繡の林
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錦繡の林

きんしゅうのはやし

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意味・由来

「錦繍(きんしゅう)」とは、美しい模様を織り出した「錦(にしき)」と、色鮮やかな「刺繍(ししゅう)」を意味する言葉です。秋が深まり、赤や黄、橙など色とりどりに色づいた樹木が美しく連なる様子を、まるで豪華な織物のようだと例えて「錦繍の林(または錦繍の山)」と呼びます。この言葉は、単に紅葉している状態を指すだけでなく、自然が作り出した精巧で圧倒的な色彩美に対する深い敬意と感動が込められた格調高い季語です。

この季語で詠むコツ

「錦繍」という言葉自体が非常に華やかで強い色彩のイメージを持っているため、さらに「赤い」「黄金の」といった直接的な色表現を重ねると、かえって描写がくどくなってしまいます。詠む際は、その豪華な色彩を背景に置きつつ、林を通り抜ける「風の冷たさ」や「静寂」、あるいは差し込む「木漏れ日の光」など、視覚以外の感覚や動きを取り入れると、錦繍の美しさがより一層引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動きや光を表す言葉: 「木漏れ日」「日差し」「そよ風」「流れる」など
  • 静寂や音を表す言葉: 「静けさ」「せせらぎ」「鳥の声」「風の音」など
  • 時間や空間を表す言葉: 「暮れゆく」「遥か」「包まれて」など

錦繡の林」の俳句例 (3件)

錦繍の山に我が家がある如し
阿波野青畝【現代語訳】見事な紅葉に彩られた錦繍の山を眺めていると、まるでその美しい山の中に自分の家があるかのような贅沢な心地がする。 【鑑賞】ただ遠くから美しい紅葉の山を眺めるだけでなく、「我が家がある如し」と主観的に引き寄せることで、自然の圧倒的な美しさに抱かれ、一体となっている至職の感情が素朴かつ大らかに表現されています。
錦繍の山に入り行く流れかな
飯田蛇笏【現代語訳】美しく紅葉した錦繍の山の中へと、吸い込まれるように流れ入っていく渓流の美しさよ。 【鑑賞】色鮮やかな紅葉で覆われた山々(錦繍)と、そこを滑るように流れる水の白さや清らかさの対比が実に見事な一句です。静かに燃えるような紅葉の中に、水という動的な要素が入ることで、山の瑞々しさと奥行きが立体的に表現されています。
錦繍の山々に対ひけり
富安風生【現代語訳】見事に紅葉した山々と、いま私は真っ正面から対峙している。 【鑑賞】「対ひけり(むかいけり)」という一言に、大自然の圧倒的な色彩美を全身で受け止め、心を通わせている作者の真摯な姿勢が表れています。余計な修飾を排し、錦繍の美しさに圧倒される作者の静かな感動がストレートに伝わる名句です。

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