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「懸想文売(けそうぶみうり)」とは、新春の町を覆面姿で歩き、梅の枝に結びつけた「懸想文」を売り歩く風俗を指す新年の季語です。「懸想文」とは本来、恋文(ラブレター)のことですが、近世以降は良縁や美貌、衣装が増えることなどを祈願した一種の吉祥のお札として親しまれました。顔を隠す頭巾をかぶり、水干姿で静かに売り歩く姿は、平安貴族の忍び逢いを思わせる雅でどこか神秘的な風情を持っています。現代でも京都の須賀神社の祭礼などでその伝統的な姿を見ることができます。
懸想文売の持つ「謎めいた艶やかさ」や「新春の雅な空気」を表現するのがポイントです。顔を覆面で隠している異様な出立ちと、新年の晴れやかな町の賑わいとのコントラストに着目すると奥行きが生まれます。また、良縁を願って密かに買い求める町娘のはにかみや、梅の枝に揺れる文の白さなど、視覚的・心理的な動きを丁寧にすくい取ることで、物語性のある情緒豊かな一句に仕上がります。
・視覚・装束を表す言葉:頭巾、覆面、水干、梅の小枝、結び文 ・心情や動作を表す言葉:忍ぶ、買ひ求む、はにかむ、袖の影、待ちわびる ・情景を広げる言葉:京洛、石畳、新春の風、古都、夕暮れ
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