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遍路宿(へんろやど)とは、四国八十八箇所の霊場などを巡る遍路(巡礼者)が泊まるための宿のことです。春を迎えて気候が温暖になると、多くの人々が白装束に身を包んで巡礼の旅に出ることから、春の季語とされています。古くから霊場巡りの道沿いには、遍路を温かく迎え入れる善根宿や木賃宿、商人宿などが点在していました。長旅の疲れを癒やす場所であると同時に、宿の主人や地域の人々による「お接待」の温もり、同じ志を持つ見知らぬ旅人同士が語り合う一期一会の交流の場としての風情があります。
遍路宿を詠む際は、巡礼の厳しい歩みと、宿に入った瞬間の安堵感の対比を描くのが効果的です。泥で汚れた草鞋や、壁に立てかけられた金剛杖、濡れた菅笠といった旅の道具に焦点を当てると、巡礼の過酷さと旅情が際立ちます。また、宿の夕餉に並ぶ素朴な地の物、温かいもてなし、夜の静けさや、翌朝まだ明けきらぬうちに出立していく気配などを切り取ると、深みのある句になります。
・春の言葉:春雨、春泥(しゅんでい)、朧(おぼろ)、春の山、霞 ・季節を問わない言葉:金剛杖(こんごうづえ)、菅笠(すげがさ)、白装束、灯火、足洗う、湯気、朝立ち