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「春のかたみ」は晩春の季語で、去りゆく春を惜しみ、その名残りとして心に留めるものや、春の思い出を呼び起こす品や情景を意味します。「かたみ」とは「形見」であり、過ぎ去る季節が残していった記念やしるしを指します。古典和歌の時代から詠み継がれてきた雅やかな言葉であり、散り残った花や、春の間に交わした手紙、手元に残る桜の押し花など、春の気配をかすかに宿すあらゆるものが「春のかたみ」となり得ます。春が尽きる切なさと、深い愛惜の情が込められた季語です。
抽象的な感情だけで詠むと観念的になりやすいため、「具体的に何を見て、春の終わりを惜しんでいるのか」を明確に描写することが大切です。散った花びらを本に挟む場面や、春の衣類をしまう瞬間、春の光が翳る夕暮れなど、身近な日常の動作や手元にある静かな物に焦点を当ててみましょう。「春のかたみ」という言葉自体に深い叙情性があるため、取り合わせる言葉はなるべく素朴で落ち着いたものを選ぶと、季語の美しさが引き立ちます。
・文房具や書物に関する言葉(栞、古書、日記、手紙、薄墨) ・日常の小物や動作に関する言葉(小箱、袖、引き出し、包む、拾ふ) ・晩春の情景を映す言葉(ひとひら、水面、夕暮、微風)