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「恵方(えほう)」とは、その年の福徳を司る神様である「歳徳神(としとくじん)」がいるとされる、もっともめでたい方角のことです。「吉方(きっぽう)」とも呼ばれ、新年にはその方角に向かって事を行えば、万事に幸運がもたらされると信じられてきました。現代では節分の「恵方巻」が広く親しまれていますが、俳句の世界では本来、初春のめでたさや新たな年への希望を象徴する新年の季語として大切に詠まれています。
恵方は目に見える具体的な物体ではなく「方角」という抽象的な概念です。そのため、単に「恵方に向かう」と詠むだけでなく、視線の先にある景色や自身の動作、心の動きと結びつけるのが上達の近道です。例えば、恵方に向かって窓を開け放つ瞬間の冷涼な空気感、恵方の方角にそびえる山や輝く朝日の描写、あるいは晴れ着を着てその方角へ歩き出す足音など、五感を使った具体的な情景を描き出すことで、新春の清々しさがぐっと際立ちます。
・山や光(富士、初日、青空、朝日子など、方角の先に見える清浄な景物) ・動作や身の回り(窓開く、靴を履く、歩み出す、仰ぐなど、新しい行動を示す言葉) ・新年の風物(破魔矢、晴着、祝箸、注連縄など、初春の喜びを彩る調度や装い)