蜻蛉朔日

蜻蛉朔日

とんぼついたち

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意味・由来\n「蜻蛉朔日(とんぼついたち)」とは、陰暦八月一日のこと。「八朔(はっさく)」の異称です。この頃になると稲の穂が実り始め、田畑や野山の上空を赤とんぼなどの群れが無数に飛び交うようになることから、親しみと季節感を込めてこのように呼ばれるようになりました。古くは早稲の実りを祝う節句でもあり、人々は群れ飛ぶ蜻蛉の姿に本格的な実りの秋の到来を実感していました。秋の澄んだ気配と、どこかノスタルジックな情緒をたたえた時候の季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n「蜻蛉朔日」は「蜻蛉(虫)」そのものを指すのではなく、陰暦八月一日という「日付・時候」を表す季語です。そのため、単にトンボの飛ぶ姿を写生するだけでなく、八月朔日という季節の節目がもたらす空気の清涼感や、秋の訪れに対する感慨を詠み込むのがコツです。光の陰影、夕暮れの風、澄み渡る空など、広がりや透明感のある風景と合わせることで、この季語が持つ美しい響きがいっそう引き立ちます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 空・光・風・夕暮れ・海・波などの自然描写\n- 畳・縁側・障子・庭などの暮らしや住まいの言葉\n- 稲穂・畦・刈田などの田園風景

蜻蛉朔日」の俳句例 (3件)

蜻蛉朔日海をあかるくして暮れぬ
岡井省二【現代語訳】蜻蛉朔日の今日、海をまばゆい茜色の光でいっぱいに照らし出しながら、静かに日が暮れていった。\n【鑑賞】陰暦八月一日、空に蜻蛉が群れ飛ぶ秋のはじめの海辺を描いた句です。「海をあかるくして」という表現に、秋特有の澄み切った光の強さと透明感が捉えられており、去りゆく一日への寂寥と自然の壮大な美しさが見事に調和しています。
蜻蛉朔日赤きをとめの群れて来し
角川春樹【現代語訳】蜻蛉朔日のこと、赤い着物をまとった少女たちが群れをなしてやって来た。\n【鑑賞】「赤きをとめ」の鮮烈な赤色が、群れ飛ぶ赤とんぼのイメージと鮮やかに重なり合います。八朔の日に催される祭りや神事の華やぎを思わせるとともに、どこか幻想的で神話のような物語性を感じさせる妖艶で美しい一句です。
蜻蛉朔日草の匂ひの畳かな
長谷川櫂【現代語訳】蜻蛉朔日を迎えた今日、部屋の畳から青々とした心地よい草の匂いが立ちのぼっている。\n【鑑賞】秋の澄んだ新涼の風が吹き込む座敷で、畳のい草の香りをふと意識した日常の一瞬です。外の晴れやかな秋空に舞う蜻蛉の気配と、室内の静かで清々しい草の匂いという、視覚と嗅覚の対比が心地よい落ち着きをもたらしています。

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