酒面雁

酒面雁

さかつらがん

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意味・由来

「酒面雁(さかつらがん)」は、カモ目カモ科の大型の水鳥で、秋にシベリアなどの北方から日本へ渡ってくる冬鳥です。俳句では秋の季語である「雁(かり・がん)」の仲間のひとつとして親しまれています。名前の「酒面(さかつら)」は、頬から頸部にかけての羽毛が赤褐色や黄褐色を帯びており、まるで「お酒を飲んで顔を赤らめたよう」に見えることに由来します。黒いくちばしの根元にある白い帯模様と、赤みを帯びた顔立ちのコントラストが特徴的な、風情ある雁です。

この季語で詠むコツ

「雁」一般の渡りの壮大さや寂寥感に加え、「酒面」という独特の色彩感やユーモラスな愛嬌を意識して詠むのがポイントです。夕暮れの光や朝焼けに照らされた水辺に佇む姿、首をすっと伸ばして警戒する様子など、特徴的な頭部や顔立ちに視点を絞ると、普通の「雁」とは一味違う個性的な情景を描き出すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・水辺の情景:潟、沼、入江、波間、葦原(あしはら) ・時間や光の描写:夕茜(ゆうあかね)、夕日、朝靄(あさもや)、落暉(らっき) ・動作や色彩:赤らむ、首伸ばす、羽づくろい、浮かぶ

酒面雁」の俳句例 (3件)

酒面雁首長々と立ちにけり
長谷川零余子【現代語訳】酒面雁が水辺に降り立ち、その長い首をすらりと伸ばして警戒するように立っていることだ。 【鑑賞】酒面雁の特徴である長めの首と、特徴的な顔立ちを端的に捉えた写生句です。渡ってきたばかりの緊張感と、野生の鳥ならではの引き締まった佇まいが、無駄のない言葉運びによって鮮やかに立ち現れています。
酒面雁夕日をあびて下りたちぬ
松本たかし【現代語訳】空を飛んできた酒面雁が、沈みゆく美しい夕日をその身いっぱいに浴びながら水辺へ舞い降りた。 【鑑賞】酒面雁の頬の赤みと、西空を染める夕日の朱色が見事に呼応し合っている名句です。羽ばたきを収めて水面へと着水する一瞬の優雅な動線と、晩秋のあたたかくも寂しい光の対比が見事です。
酒面雁暮れゆく水に首を伸ぶ
詠み人知らず【現代語訳】夕闇が迫り静まり返っていく水面で、酒面雁がすっと首を伸ばしている。 【鑑賞】薄暮の水辺に浮かぶ酒面雁のシルエットを描いた情緒あふれる一句です。「暮れゆく水」の冷たい静寂の中で、赤ら顔の雁が凛として首を伸ばす姿に、旅鳥としての孤高の美しさが感じられます。

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