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繭餅とは、小正月(一月十五日前後)の予祝行事で飾られる、おめでたい餅のことです。新年の季語に分類されます。米の粉を練って小さな蚕の繭の形に丸めた餅を、柳や水木、榎などの枝に無数に刺し、神棚や座敷に飾ってその年の養蚕の無事や繭の豊作を祈願しました。白だけでなく、紅や緑、黄などで美しく染め分けた餅を用いる地方も多く、寒さ厳しい初春の座敷に、まるで一足早く花が咲いたような明るく華やかな情景をもたらします。
繭餅は、農家の素朴な祈りと華やぎが一つになった愛らしい季語です。枝のしなり具合や色とりどりの餅の美しさといった「視覚的な華やかさ」を描き出すと、新春のめでたさが引き立ちます。また、家族総出で餅を丸めて枝に刺す作業の団らんや、冷え冷えとした冬の空気の中に差す暖かな陽光など、周囲の情景や生活の手触りと取り合わせることで、懐かしく温かみのある句に仕上がります。
・枝の様子を表す言葉(柳の枝、水木、撓る、挿す) ・色彩や光を表す言葉(紅白、彩り、明らむ、日差し) ・家や生活の情景(神棚、座敷、梁、土間、囲炉裏) ・人の営みや心情(祈り、幼な子、笑み)