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「万年飽(まんねんあわび)」は、アワビに極めてよく似たミミガイ科の巻き貝である「トコブシ(常節)」の別称です。アワビよりも小ぶりですが旨味が強く、古くから親しまれてきました。岩肌にしっかりと吸い付いて生きる生命力の強さや、その長寿を祝う意味を込めて「万年」の名が冠されており、春の季語として扱われています。春の潮引きの磯で採れる海の恵みであり、めでたい席の料理としても好まれます。
「万年」という言葉の持つ祝意や力強さと、春の海ののどかな情景を対比させたり重ねたりすると句に奥行きが出ます。アワビに比べて小粒で身近な貝ですので、磯歩きの採取の様子や、甘辛く煮付けられた小鉢の様子など、食卓や台所の手触りがある描写と相性が抜群です。貝殻の孔の並びや美しい真珠光沢、春の磯の香りなど、視覚や嗅覚を意識して具体的に詠み込むのがポイントです。
・春の海、春潮、長閑(春の海の情景) ・磯、潮溜まり、岩肌、濡れ石(自然の環境) ・小鍋、煮浸し、膳、酒器(料理・宴席の描写) ・固き殻、吸い付く(貝の生態・特徴)