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俳句の作り方吟行2026年10月7日

種田山頭火の足跡をたどる防府・山口の旅|山頭火ふるさと館・其中庵・湯田温泉を歩く吟行ガイド

はじめての俳句サポーター 凛

はじめての俳句サポーター 凛

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種田山頭火の足跡をたどる防府・山口の旅|山頭火ふるさと館・其中庵・湯田温泉を歩く吟行ガイド
秋の日差しに照らされた紅葉の山道
歩いても歩いても、山の道は続いていきます

分け入つても分け入つても青い山

種田山頭火

五七五でもなく、季語もない。けれども、歩いても歩いても山が続く、その感じだけは、読む人の体にそのまま入ってきます。

この句の作者・種田山頭火(たねだ さんとうか)は、山口県の人です。防府(ほうふ)に生まれ、全国を歩いて句を作り、旅に疲れると山口に戻って庵を結びました。生まれた町、はじめて落ち着いた庵、山口での最後の住まい。この3か所は、電車で30〜40分の範囲にあります。

山頭火ふるさと館も其中庵も、入館・入園は無料です。駅からの距離はありますが、急な坂は少なく、1泊2日でゆっくり歩けば、山頭火の一生をひととおりたどることができます。

この記事でわかること

  • 山頭火がどんな人で、なぜ歩き続けたのか
  • 防府の山頭火ふるさと館・生家跡・山頭火の小径の見どころ
  • 小郡の其中庵と、湯田温泉の山頭火ゆかりの地
  • 電車で結ぶ、シニア向けの1泊2日コースと所要時間
  • 自由律で一句作ってみる、山頭火流のヒント
🍃 はじめての方へ|初心者でも楽しめる「吟行入門ガイド」を読む 持ち物・歩き方・句の見つけ方をやさしく解説しています。

1. 山頭火とは ― 歩いて句を作った人

種田山頭火は、明治15年(1882年)、いまの防府市に、大地主の長男として生まれました。本名は正一です。

裕福な家に生まれましたが、少年時代に母を亡くしたとされています。早稲田大学に進みましたが中退し、帰郷して家業の酒造を手伝いました。やがて家は破産し、妻とも別れます。

その後、荻原井泉水(おぎわら せいせんすい)が主宰する俳誌「層雲」に加わり、五七五の定型にとらわれない自由律の句を作るようになりました。大正14年(1925年)に熊本で出家し、翌年から托鉢をしながら各地を歩く旅に出ます。「分け入つても分け入つても青い山」は、この旅に出た年の句とされています。

生涯に1万句あまりを残したとされています。山頭火の句は、歩いているときの句です。机の前で考えた句ではなく、足を動かしながら口をついて出た言葉。その飾らなさは、いまも多くの人に愛されています。

種田山頭火の人物・代表句をもっと見る →

小豆島で最後の8か月を一人で過ごした尾崎放哉は、同じ「層雲」の俳人でした。放哉が「留まった人」なら、山頭火は「歩き続けた人」です。

あわせて読む|小豆島で尾崎放哉を訪ねる吟行ガイド →

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2. 防府 ― 生まれた町

① 山頭火ふるさと館

防府天満宮の近く、宮市町の町並みのなかに、山頭火ふるさと館があります。平成29年(2017年)10月に開館した、山頭火をテーマにした施設です。山頭火の直筆の句稿や書、日記などを展示していて、季節ごとに企画展が開かれます。入館は無料です。

まずここで、山頭火の生涯を頭に入れてから町を歩くと、句碑の一つひとつが近く感じられます。

2026年10月25日まで、企画展「山頭火の旅模様 九州編」が開催されています。山頭火が滞在した九州地方の様子や、関わりのあった人物について、直筆資料とあわせて紹介する展示です。

② 種田山頭火生家跡と、山頭火の小径

ふるさと館から歩いてほど近い八王子二丁目に、山頭火の生家跡があります。建物は残っていませんが、生家のあった場所が示されています。

雨ふるふるさとははだしであるく

種田山頭火

ふるさとを詠んだ句として、よく知られています。

生家跡から、山頭火が通った松崎小学校までの道は、「山頭火の小径」として残っています。小径沿いの民家の塀や壁には、ふるさとを詠んだ山頭火の句が、いくつも掛けられています。句を読みながら歩ける道です。

防府市内には山頭火の句碑が多数あり、JR防府駅前には山頭火の銅像もあります。

③ 防府天満宮

山口県防府市の防府天満宮にある春風楼
防府天満宮の春風楼

ふるさと館のすぐ近くにある防府天満宮は、日本最初の天満宮とされる古い神社です。山頭火も子どものころ、この境内で遊んだといわれています。

天満宮は、石段を上った高台にあります。膝に不安のある方は、石段の下から見上げるだけでもかまいません。参拝後は、境内の芳松庵で抹茶をいただきながらひと休みするのもよいでしょう。

3. 小郡・其中庵 ― はじめて落ち着いた庵

旅を続けて50歳になった山頭火は、昭和7年(1932年)、いまの山口市小郡に、小さな庵を結びました。これが其中庵(ごちゅうあん)です。昭和13年(1938年)まで、およそ6年をここで暮らしました。

庵は失われましたが、当時この庵をたびたび訪ねた俳人・近木黎々火(ちかき れいれいか)が残した見取り図をもとに、平成4年(1992年)に復元されました。いまは公園として整備され、休憩所や東屋、水琴窟(すいきんくつ)もあります。入園は無料です。

庵の横には、山頭火の師・荻原井泉水の筆による句碑があります。奥には、山頭火が使っていた井戸も残っています。

歩き続けた人が、ようやく腰をおろした場所です。復元とはいえ、四畳半の小さな庵は、山頭火の暮らしを静かに伝えています。庵の縁側に座って風を聞いていると、山頭火がここで何を見ていたのか、少しだけ分かるような気がします。

2月初旬から3月初旬には、梅が見ごろになります。

4. 湯田温泉 ― 山口での最後の住まい

山口市の湯田温泉に広がる温泉街の風景
山頭火が晩年を過ごした湯田温泉

其中庵を出た山頭火は、昭和13年(1938年)の暮れから、山口市の湯田温泉に住みました。住まいは「風来居(ふうらいきょ)」と名づけられています。

山頭火は湯田の温泉を好み、毎日のように湯に通ったとされています。井上公園には山頭火の句碑があり、足湯も設けられています。散策の途中にひと休みするのにもよい場所です。

そして昭和14年(1939年)、山頭火はここから四国へ旅立ち、松山に「一草庵」を結んで、翌年、そこで亡くなりました。57歳でした。

うしろすがたのしぐれてゆくか

種田山頭火

山頭火の句のなかでも、とくに知られた句のひとつです。自分の後ろ姿が、時雨のなかに消えていく。山頭火の旅の句として広く愛されています。

5. 1泊2日のモデルコース(シニア向け)

3か所は電車で結べます。1日目に防府、夜は湯田温泉に泊まり、2日目に其中庵という順が、移動が少なく楽です。

1日目|防府(半日〜1日)

JR防府駅 → ふるさと館 → 防府天満宮 → 生家跡・山頭火の小径 → 防府駅 → 新山口駅 → 湯田温泉泊

  • 所要時間:3〜4時間
  • 坂・石段:天満宮の石段。ほかはおおむね平坦
  • 休憩:ふるさと館、うめてらす、天満宮周辺
  • ポイント:まずふるさと館で山頭火の生涯を知ってから町へ
山口県防府市にある防府天満宮の境内
防府の町歩きでは、防府天満宮も立ち寄りやすい場所です

2日目|其中庵(半日)

湯田温泉 → JR新山口駅 → 其中庵 → 新山口駅

  • 所要時間:2〜3時間(移動含む)
  • 坂・石段:おおむね平坦
  • 休憩:其中庵の休憩所・東屋
  • ポイント:新山口駅を最後にすると、そのまま新幹線で帰れます
山口市小郡にあるJR新山口駅の構内
其中庵の最寄りとなる新山口駅

歩く前に確認しておきたいこと

  • 防府駅〜ふるさと館、新山口駅〜其中庵は徒歩15〜20分ほど。無理をせずバスやタクシーを利用しましょう
  • 夏は日かげが少ない区間があります。帽子と飲み物を忘れずに
  • 山頭火ふるさと館は火曜休館、其中庵は年中無休です
  • お手洗いは、ふるさと館と其中庵にあります

6. 山頭火のように句を作るヒント

ヒント1|歩きながら、口に出す

立ち止まって考えるより、歩きながら見えたものを小さく口に出してみてください。「青い山」「まっすぐな道」。その言葉が、そのまま句の頭になります。

まつすぐな道でさみしい

種田山頭火

ヒント2|同じ言葉を、二度くり返す

「分け入つても分け入つても」のように、同じ言葉をくり返すと、歩いている時間の長さが出ます。「歩いても歩いても」「待っても待っても」。一度試してみてください。

ヒント3|自分の後ろ姿を思う

「うしろすがたのしぐれてゆくか」は、自分の後ろ姿を外から見ている句です。吟行の帰り道、自分の後ろ姿がどう見えているかを想像してみてください。

ヒント4|定型でも、山頭火の気分で

五七五で作る方も、季語をひとつ入れ、あとは歩きながら口に出た言葉をそのまま置いてみましょう。

作例

小径の塀にも句がある秋の日
(編集部作例・自由律)

歩いてきて庵の縁に腰かける
(編集部作例・自由律)

梅ひらく其中庵の水の音
(編集部作例・定型)

7. 山頭火ふるさと館・其中庵の施設情報とアクセス

項目 山頭火ふるさと館 其中庵
所在地山口県防府市宮市町5-13山口県山口市小郡下郷1811
時間9:00〜17:009:00〜17:00(10〜4月)/9:00〜18:00(5〜9月)
休み火曜日(祝日の場合は翌平日)、12月26日〜31日年中無休
料金無料(特別企画展は別料金の場合あり)無料

種田山頭火生家跡・山頭火の小径:屋外の史跡で、自由に見学できます(無料)。

※2026年10月時点の情報です。おでかけ前に公式サイトで最新情報をご確認ください。

アクセス

  • 山頭火ふるさと館:JR防府駅から徒歩約15分、または防長バス「防府天満宮」下車徒歩約5分
  • 生家跡:JR防府駅から徒歩約15分
  • 其中庵:JR新山口駅から徒歩約20分、車で約5分
山頭火ふるさと館 公式サイトを確認する →

8. 湯田温泉に泊まる

湯田温泉は、山口市の中心にある温泉街です。山頭火が毎日のように通った湯に、自分もつかる。それだけで、この旅は山頭火の旅になります。

防府・湯田・小郡を1泊2日でめぐれば、生まれた町、最後の山口、はじめて落ち着いた庵と、山頭火の一生をひととおりたどれます。個人で計画を立てるのが不安な方は、交通と宿泊をまとめて探す方法もあります。

山口・湯田温泉の旅行プランをJTBで見てみる → ※其中庵・山頭火ふるさと館が行程に含まれるとは限りません。

よくある質問

山頭火ふるさと館の入館料はいくらですか

無料です(特別企画展は別料金の場合があります)。開館時間は9:00〜17:00、火曜日(祝日の場合は翌平日)と12月26日〜31日が休館です。

其中庵へは、どうやって行きますか

JR新山口駅から徒歩約20分、車なら約5分です。新山口駅は新幹線の駅なので、遠方からも行きやすい場所です。入園は無料で、年中無休です。

山頭火の生家は残っていますか

建物は残っていませんが、防府市八王子二丁目に生家跡があります。JR防府駅から徒歩15分ほどです。生家跡から小学校までの道は「山頭火の小径」として、塀に句が掛けられています。

山頭火ゆかりの地は、1日で回れますか

防府と其中庵は電車で30〜40分ほど離れていて、1日でも回れますが、駅からの徒歩が長めです。シニアの方には、湯田温泉に1泊する2日がかりのコースをおすすめします。

9. まとめ

山頭火は、歩き続けた人です。生まれた町を出て、全国を歩き、疲れると庵に戻り、また歩き出しました。防府の小径、其中庵の縁側、湯田の湯。そのどこにも、歩く人の句が残っています。

分け入つても分け入つても青い山

この旅で、あなたも一度、五七五をはずして、歩きながら口に出た言葉を句にしてみてください。句帳をポケットに、まずは一歩。防府の小径や其中庵の静けさのなかで、自分だけの言葉が見つかるかもしれません。

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