新年の季語一覧|正月ならではの言葉を暮らし・行事ごとに、例句つき
はじめての俳句サポーター 凛
執筆者
お正月の空に昇る初日、家族で囲む雑煮、門口の松飾り。年の初めの風景には、俳句で使える特別な言葉がたくさんあります。
俳句の歳時記には、春・夏・秋・冬に加えて「新年」の部が設けられています。この記事では、新年の季語を時候・天文・暮らし・遊び・行事・動植物に分けて、読み方と意味を一覧で紹介します。年賀状に添える一句や、初めてのお正月の句作りにも役立ててください。
この記事でわかること
新年の季語と1月の冬の季語の違い/お正月に使いたい季語の読み方と意味/「迎春」「賀正」の扱い/新年の俳句の作り方
新年の季語とは? 「1月の季語」との違い
新年の季語は、年が明けた喜び、正月の行事、改まった暮らしなどを表す言葉です。たとえば「初日」「初夢」「雑煮」「初詣」は、春・夏・秋・冬とは別の新年の季語に分類されます。
昔の暦では正月が立春のころに重なっていたため、新年を「初春」「新春」と呼ぶ習慣が残りました。今はまだ寒い1月でも、年賀状に「新春」と書くのはその名残です。
「新年の季語」と「1月に使う冬の季語」
新年の季語
初日・雑煮・初詣
年が改まった喜び、お正月の暮らしや行事
冬の季語(1月にも使う)
寒の入・大寒・寒梅
厳しい寒さや冬そのものの様子
「1月の句だから必ず新年の季語」というわけではありません。詠む場面に合わせて選びましょう。1月の俳句や冬の季語一覧も参考になります。
松の内は地域によって異なります
「松の内」は、門松を飾って歳神様をお迎えする期間です。関東では一般に1月7日まで、関西では1月15日までとされますが、地域や家庭の慣習によっても違いがあります。
また、松の内が明けても「鏡開」「小正月」「左義長」「初天神」など、新年の部に収められる季語があります。松の内が終わったら新年の季語はすべて使えない、ということではありません。
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時候・天文の季語|新年の空と時間
新しい年の始まりや、元日の光と空を表す季語です。晴れやかで、少し改まった印象の一句に向いています。
※表は左右にスクロールしてご覧いただけます。
| 季語 | 読み | 意味・使い方 |
|---|---|---|
| 新年 | しんねん | 新しく始まった年。年の初め |
| 元日 | がんじつ | 1月1日。新しい年の最初の日 |
| 元旦 | がんたん | 元日の朝。「元旦の朝」は意味が重なる |
| 三が日 | さんがにち | 1月1日から3日まで |
| 去年今年 | こぞことし | 去る年と迎える年が連なること |
| 初春 | はつはる | 新年を祝う言い方。新春も傍題 |
| 淑気 | しゅくき | 新年の清らかで改まった気配 |
| 初日 | はつひ | 元日の朝日。初日の出 |
| 初空 | はつぞら | 元日の空 |
| 初晴 | はつばれ | 元日の晴れ渡った空 |
| 御降り | おさがり | 元日から三が日ごろに降る雨や雪 |
初空をひとつの鳥の影よぎる
(編集部作例)
元日の澄んだ空を、一羽の鳥がよぎる。一つの動きが、年の初めの静けさをいっそう引き立てます。
ことばの注意|「元旦」の意味
「元旦」は元日の朝を指します。年賀状や句で「元旦の朝」と重ねて書かず、「元旦」または「元日の朝」とするのがすっきりします。
暮らしの季語|お正月の食卓と家の中
雑煮や鏡餅、初夢や書初など、身近な生活から一句を作れる季語がそろっています。いつもの家の中にも、お正月だけの景色があります。
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| 季語 | 読み | 意味・使い方 |
|---|---|---|
| 雑煮 | ぞうに | 餅や野菜などを入れた正月の祝い汁 |
| 屠蘇 | とそ | 正月に健康を願って飲む薬酒 |
| 御節 | おせち | 正月の祝い料理。おせち料理 |
| 鏡餅 | かがみもち | 正月に供える重ねた丸餅 |
| 門松 | かどまつ | 門口に立てる正月の松飾り |
| 注連飾 | しめかざり | 玄関や神棚などに飾るしめ縄の飾り |
| 若水 | わかみず | 元日の朝に初めて汲む水 |
| 初夢 | はつゆめ | 新年になって初めて見る夢 |
| 書初 | かきぞめ | 新年に初めて筆で字を書くこと |
| 年玉 | としだま | 新年に贈る祝いの品や金品 |
| 初湯 | はつゆ | 新年に初めて入る湯・風呂 |
雑煮椀ひとつ増えたる家族かな
(編集部作例)
家族が増えて、雑煮の椀も一つ多く並んでいる。うれしさを直接説明せず、食卓の変化で伝える一句です。
遊びの季語|懐かしいお正月の楽しみ
羽根つきや双六などの正月遊びも、新年の季語です。子どもの声や、久しぶりに集まった家族のにぎわいを詠むのに向いています。
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| 季語 | 読み | 意味・使い方 |
|---|---|---|
| 羽子板 | はごいた | 羽根つきに使う板 |
| 手毬 | てまり | 手でついて遊ぶ毬 |
| 双六 | すごろく | 盤の上で駒を進める遊び |
| 歌留多 | かるた | 百人一首などの札を取る正月遊び |
| 福引 | ふくびき | くじを引いて景品などを当てる正月の催し |
季語のヒント|「福引」も新年の季語
現代では福引が通年行われることもありますが、歳時記では年の初めの福引を、新年の季語に収めています。詠む場面が正月のことだと伝わるかを意識するとよいでしょう。
行事の季語|初詣から小正月まで
初詣、七草、鏡開など、日にちを意識した行事の季語です。行事の日だけでなく、その支度や帰り道の一場面を題材にしてもよいでしょう。
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| 季語 | 読み | 意味・使い方 |
|---|---|---|
| 初詣 | はつもうで | 新年に初めて神社や寺に参ること |
| 七草 | ななくさ | 1月7日の七草粥を食べる行事 |
| 鏡開 | かがみびらき | 供えた鏡餅を下ろして食べること。日付には地域差 |
| 小正月 | こしょうがつ | 1月15日を中心とする正月行事 |
| 左義長 | さぎちょう | 正月飾りなどを焚く火祭り。どんど焼き |
| 十日戎 | とおかえびす | 1月10日を中心に行われる、えびす神の祭り |
| 初天神 | はつてんじん | 年の初めの天神様の縁日。一般に1月25日 |
| 初句会 | はつくかい | 新年になって最初に開く俳句の句会 |
初詣数へて上る石の段
(編集部作例)
石段を一段ずつ数えながら登っていく。大切な願いを胸に、歩みを確かめるような新年の場面です。
小正月の季語は、松の内よりあとにも
「小正月」「左義長」「初天神」も新年の季語です。正月の季語の使用期間を松の内だけで区切らず、その行事の時期に合わせて選びます。
動物・植物の季語|正月の生きものと花
元日に出会う鳥や、正月を彩る植物も、新年の季語に数えられます。季節の暦と実際の開花時期が一致しないものもあるため、言葉の由来を知ると楽しみが広がります。
※表は左右にスクロールしてご覧いただけます。
| 季語 | 読み | 意味・使い方 |
|---|---|---|
| 初鴉 | はつがらす | 新年になって初めて見る、または聞く鴉 |
| 初雀 | はつすずめ | 新年になって初めて見る雀 |
| 嫁が君 | よめがきみ | 正月三が日に鼠を呼ぶめでたい言い方 |
| 福寿草 | ふくじゅそう | 正月の祝い花。黄色い花を咲かせる |
| 楪 | ゆずりは | 新旧の葉が交代することから正月飾りに使う木の葉 |
福寿草の季節は?
福寿草の野外での開花は早春が中心ですが、古くからお正月の祝い花として親しまれたため、俳句歳時記では「新年」の部に置かれています。
「迎春」「賀正」は季語? 年賀状の言葉との違い
「迎春」と「賀正」は、どちらも年賀状に使う賀詞(お祝いの言葉)です。ただし、俳句の季語としての扱いを同じように考えるのは避けましょう。
迎春(げいしゅん)
「春を迎える」という賀詞。歳時記によっては「初春」の傍題(言い換え)としても掲載されています。
賀正(がしょう)
「正月を祝う」という賀詞。今回確認した主要な歳時記では独立した新年の季語として裏付けが取れないため、季語として一律に扱いません。
年賀状に俳句を添えるなら、季語として扱いが安定している「初春」「初日」「初空」「雑煮」などを選ぶと安心です。
新年の季語を使う俳句の作り方|3つのコツ
1.季語を一つ選び、目に見えた場面を添える
「初日」「門松」「雑煮」など、まず好きな季語を一つ選びます。その後に見えたもの、聞こえた音、家族の仕草を一つ添えると、句が具体的になります。
2.「初」がつく言葉を選ぶときは歳時記で確認
「初空」「初夢」「初湯」「初鴉」など、「初」の付く新年の季語は数多くあります。ただし「初○○」なら何でも季語になるわけではありません。不安なときは歳時記で確かめましょう。
3.季語を重ねすぎない
「初日」「雑煮」「門松」を一度に入れると、新年の印象は強くなりますが、何を伝えたい句なのかぼやけることがあります。初心者の方はまず一句に季語を一つから始めるとまとまりやすくなります。季重なりが必ず誤りというわけではありませんが、意図のない重複は避けるのが基本です。
季語の見つけ方や使い方は、歳時記の使い方と五七五の音数の数え方で詳しく紹介しています。
新年の季語についてのよくある質問
Q. 新年の季語はいつまで使えますか?
元日を中心とする正月の季語が多くありますが、「鏡開」「小正月」「左義長」「初天神」など、松の内の後の行事も含まれます。季語ごとの時期を確認しましょう。
Q. 関東と関西で松の内は違うのですか?
一般に関東は1月7日まで、関西は1月15日までとされます。ただし地域の習慣による違いもあるため、相手の地域の慣習に合わせるのがよいでしょう。
Q. 「迎春」と「賀正」は季語ですか?
「迎春」は「初春」の傍題として載せる歳時記があります。一方、「賀正」は基本的には年賀状の賀詞です。少なくとも今回照合した資料からは、両者を同じように新年の季語と断定できません。
Q. 年賀状に添える句におすすめの季語は?
「初春」「初日」「初空」「淑気」などが使いやすいでしょう。相手に伝わりやすい言葉を選び、短い景色を一つ詠むのがおすすめです。
Q. もっと多くの新年の季語を調べられますか?
俳句びとの新年の季語一覧で、ほかの季語も探せます。掲載数は変更されるため、ここでは具体的な件数を示していません。
あわせて読みたい|新年の俳句に役立つ記事
年賀状に添える俳句 ›晴れやかな季語と、相手に伝わる句の選び方を紹介。 1月の俳句 ›正月の新年季語と、寒さを表す冬の季語の両方を紹介。 年末年始の俳句ガイド ›年賀状・名句・作句・初句会の楽しみ方をまとめて紹介。新年の季語で、一年最初の一句を
新年の季語は、特別な出来事だけを詠むものではありません。元日の空、食卓の椀、久しぶりに集まった家族の笑顔。心に残った一場面を季語とともに言葉にしてみましょう。
参考にした資料
季語の分類と傍題は、きごさい「5000季語一覧」、「初春」の解説を含む基本季語、コトバンク「季語」などで照合しました。季語の収録・表記は歳時記により異なる場合があります。
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