新年の俳句の作り方|初詣・お雑煮・初日の出を詠む4ステップ
はじめての俳句サポーター 凛
執筆者
お正月は、俳句を始めるのにぴったりの季節です。初詣、初日の出、雑煮の湯気。ふだんとは違う景色が次々に訪れ、それぞれが一句の題材になります。
この記事では、新年の俳句の作り方を4つのステップでご紹介します。初めての方も、景色を一つ選び、季語を決めて、五・七・五に整えるところまで一緒に進められます。
掲載する俳句は、すべて俳句びと編集部の作例です。有名俳人の作品として紹介するものではありません。
まずは全体の流れを確認
① 心に残った場面を選ぶ
② 新年の季語を一つ決める
③ 季語と別の具体的なものを組み合わせる
④ 五・七・五に整え、声に出して読む
ステップ1|お正月の「一場面」を選ぶ
いちばん初めにすることは、心が動いた瞬間を一つだけ選ぶことです。お正月にあったことを全部入れようとすると、十七音では足りません。
「初詣に行き、おせちを食べ、孫も遊びに来た」という一日を詠むなら、その中から、一枚の写真になるような場面を選んでみてください。
| 場面 | 目に見えるもの・耳に聞こえるもの |
|---|---|
| 初詣 | 石段、参道の砂利、鈴の音、家族の歩幅 |
| 元日の朝 | 東の空、日の出を待つ人の背中、窓の明るさ |
| お正月の食卓 | 雑煮の湯気、箸の動き、並んだ椀 |
| 家の中 | 鏡餅、年賀状、孫の声、片付けた座布団 |
「楽しかった」「うれしかった」という気持ちは、まだ書かなくても大丈夫。その気持ちを生んだ景色や動きを、先に見つけましょう。
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ステップ2|新年の季語を一つ選ぶ
場面が決まったら、季語を一つ選びます。俳句の歳時記には春夏秋冬とは別に「新年」の部があり、お正月ならではの言葉が集められています。 季語とはでも基本を解説しています。
| 詠みたい場面 | 使いやすい新年の季語 |
|---|---|
| 初詣に行った | 初詣(はつもうで) |
| 元日の朝を眺めた | 初日(はつひ)・初空(はつぞら)・初日の出(はつひので) |
| 祝いの食卓を囲んだ | 雑煮(ぞうに)・屠蘇(とそ)・御節(おせち) |
| 家の中の正月を見た | 鏡餅(かがみもち)・初夢(はつゆめ) |
| 昔ながらの遊びをした | 羽子板(はごいた)・双六(すごろく)・歌留多(かるた) |
季語カード|「初日の出」
読み:はつひので/季節:新年
意味:元日の朝に昇る太陽。五音なので、上五(最初の五音)にも置きやすい季語です。
初心者のうちは、一句に季語を一つを目安にすると、描きたい場面がはっきりします。たとえば「お正月」と「雑煮」を重ねるより、「雑煮」一つにしぼった方が、食卓の様子に言葉を使えます。季重なりが必ず誤りというわけではありませんが、最初は季語の主役を決めましょう。
ステップ3|季語と、もう一つの「具体的なもの」を組み合わせる
新年の季語が決まったら、その周りにあるものや人のしぐさを一つ選びます。抽象的な感想よりも、目に見える動きを置くと、読む人に情景が伝わります。
初詣 母の歩幅に 合はせけり
(編集部作例)/季語:初詣(新年)
参道を歩くとき、母の歩く速さに合わせる。その小さな動作から、寄り添う気持ちが伝わるように作りました。
この句で「母を大切に思う」とは直接書いていません。「母の歩幅」という具体的な言葉で、その気持ちを感じられるようにしています。
初日の出 肩寄せ合うて 待ちにけり
(編集部作例)/季語:初日の出(新年)
元日の早朝、誰かと肩を寄せ合い、朝日を待つ様子です。冷えた空気と人のぬくもりが、短い言葉から浮かびます。
写真のように一場面を切り取るのがコツです。たとえば食卓なら、雑煮そのものだけでなく、椀の数や湯気の向こうに見える顔も、句の材料になります。
ステップ4|五・七・五に整えて、声に出して読む
最後に、言葉を五・七・五の十七音に整えます。漢字の文字数ではなく、読み上げたときの音で数えるのが基本です。
実際に五・七・五を数えてみましょう
初詣 / 母の歩幅に / 合はせけり
はつもうで=5音
ははのほはばに=7音
あわせけり=5音
声に出してみて、つっかえるところがあれば、助詞を変えたり、言葉の順を入れ替えたりしてみます。初めは少し字余りになっても、まず一句を最後まで作ることを大切にしてください。
あわせて読みたい五七五(575)の数え方 ›小さな「っ」「ゃ・ゅ・ょ」などの音数も、例を挙げて説明しています。よくある失敗と、直し方
失敗1|出来事の説明だけになってしまう
お正月 家族みんなで お雑煮を
説明に終わり、「お正月」と「雑煮」で季語が重なっています。
湯気ごしに 笑ふ顔あり 雑煮椀
「家族みんな」と説明せず、湯気の向こうの笑顔を描きます。季語は「雑煮」です。
失敗2|「楽しい」「うれしい」だけで終わる
気持ちを書くのが悪いわけではありません。ただ、「うれしい」とだけ書くより、うれしさの理由になった場面を置くと、読み手が自由に想像できます。たとえば、家族の人数ぶん並んだ椀、重ねた手、正月の挨拶をする声などを探してみましょう。
失敗3|季語が多くて焦点がぼやける
「初詣」「初日」「雑煮」を一度に盛り込むより、今日は「初詣」、明日は「雑煮」というように、一つの場面から一句ずつ作る方法がおすすめです。
できた一句を、もっと楽しむには
書き留めた一句は、日付とともに残しておくと、翌年の自分への小さな便りになります。楽しみ方に決まりはありません。
- 年賀状に添える:晴れやかな季語を選び、相手に伝わる短い句を添えます。年賀状に添える俳句も参考にしてください。
- 手帳や色紙に書く:季語や作った日を一緒に記しておくと、あとから振り返りやすくなります。
- 声に出して読み比べる:言葉の響きを確かめたり、家族と感想を伝え合ったりするのも楽しい時間です。
新年の俳句の作り方|よくある質問
Q. 「初日の出」は新年の季語ですか?
A. はい。「初日」「初日の出」は、元日の朝の太陽を表す新年の季語です。どちらを使うかは、句の音数や伝えたい情景に合わせて選びましょう。
Q. 季語を二つ入れると間違いですか?
A. 必ずしも間違いではありません。ただし、初めて作るときは季語を一つにすると、句の中心が決まりやすくなります。
Q. 新年の句は松の内を過ぎたら作れませんか?
A. いいえ。松の内(期間は地域によって異なります)を過ぎても、正月の体験を思い出して一句にすることができます。また、新年の季語には小正月など松の内の後の行事を表すものもあります。
Q. 上手に作れたか自信がありません。
A. 初めから形を整えようとしすぎず、まずは一場面を一句にすることを目標にしましょう。声に出して読む、翌日に読み直す、人の感想を聞く、といった小さな工夫が助けになります。
まとめ|今年のお正月を、最初の一句に
新年の俳句は、場面を一つ選ぶ → 季語を決める → 具体的なものを組み合わせる → 五・七・五に整える、という4つの手順で作れます。
去年と同じように見えるお正月も、目の前の景色は毎年少しずつ違います。今年の空の色や、雑煮の湯気、家族のしぐさを、あなたの言葉で残してみてください。
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