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「円座虫(えんざむし)」は、初夏から夏に見られる蛾の幼虫の一種です。藁などを円形に編んだ敷物である「円座(えんざ)」に似た、丸く平たい殻(巣)をまとい、木の幹や板塀、葉の裏などに貼り付いて生活することからこの名がつきました。蓑虫(みのむし)の仲間ですが、秋から冬の蓑虫とは異なり、夏の季語として扱われます。小さく平たい巣を背負って静かに動く様子や、じっと壁に張り付いている姿には、どこかユーモラスで素朴な風情があります。
円座虫はとても小さく目立たない生き物です。そのため、大自然の雄大な景色よりも、古びた板塀や庭の敷石、手水鉢の影など、日常の身近で静かな片隅に視点を絞ると実感がこもります。また、丸い座布団のような形に着目し、その愛嬌や健気さを温かい眼差しで捉えるのがポイントです。梅雨時の湿り気や、夏の強い日差しの中にある木陰の涼しさなど、周囲の質感や光影を描くことで、小さな虫の存在感が鮮やかに引き立ちます。
・古板塀(ふるいたべい)、板戸(いたど)[無季] ・木陰(こかげ)、日陰(ひかげ)[無季] ・雨雫(あめしずく)、青葉(あおば)[夏] ・ひそやか、じっと、貼り付く[無季の動詞・副詞]