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「雲の峰」 の検索結果: 計 25件

季語 (20)

草刈童

summer

くさかりわらわ

意味・由来 「草刈童(くさかりわらわ)」とは、牛や馬の飼料にするための青草を刈る子どものことです。かつての農村では、草が青々と生い茂る初夏から盛夏にかけて、子どもたちも大切な働き手として野山や畦道へ草刈りに出かけました。小さな背丈に大きな籠を背負い、小さな鎌を巧みに使って草を刈る姿には、自然の中でたくましく生きる健気さや素朴な愛らしさがあります。夏の強い生命力と、子どもの無邪気さが重なり合う情景として、古くから俳句に詠まれてきました。 この季語で詠むコツ 単に草を刈っている姿を描くだけでなく、子どもの動きや表情、周囲の夏景色の鮮やかさに着目するのがポイントです。労働の合間に見せる無邪気な笑顔、草の香りに包まれた額の汗、背負い籠の重み、あるいは小川で手足を冷やす様子など、五感を使った描写を取り入れると生き生きとした句になります。現代の日常では見かけにくくなった情景だからこそ、物語性を意識して素朴な温もりを表現してみましょう。 相性のいい言葉・取り合わせ ・道具や動作:小鎌、背負い籠、ひと休み、汗を拭く ・情景や場所:土手、畦道、野道、木陰、川風 ・夏の自然:青草、青空、強日、雲の峰

早苗取

summer

さなえとり

意味・由来 「早苗取(さなえとり)」とは、苗代で青々と育った稲の苗を、本田へ植え替えるために丁寧に抜き取る作業を指す夏の季語です。「苗取」や「早苗抜く」とも言います。泥の中から根を傷めないよう引き抜き、水で余分な泥を洗い流して適度な束に結びます。田植えの前段階として欠かせない作業であり、古くから水田に響く水音や、人々が力を合わせて働く姿は、初夏から仲夏にかけての生命力にあふれた日本の原風景として詠まれてきました。 この季語で詠むコツ 作業に伴うリアルな身体感覚や、五感に訴えかける描写を意識してみましょう。泥の冷たさや柔らかさ、苗を洗う水音、腰をかがめ続ける作業の疲れとそれを癒やす風など、実感を込めることで句に深みが生まれます。また、瑞々しい早苗の青さや、苗代の水面に反射する夏の陽光といった視覚的なコントラストを描くのも効果的です。単なる作業記録にとどまらず、稲の命を育む営みへの敬意や季節の躍動感を込めると魅力的な一句になります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・水や泥の描写:水音、泥水、濁り、手水、跳ね返る水 ・作業の様子や道具:腰を伸ぶ、束ねる、放る、手籠、菅笠、盥 ・夏の情景:南風、汗、青空、強い日ざし、雲の峰

行く夏

summer

ゆくなつ

意味・由来 「行く夏」は、盛りを過ぎて終わりを迎えようとする夏を惜しむ心情を表す晩夏の季語です。厳しい暑さの中にも、ふとした光の翳りや夕暮れの静けさに夏の終焉を感じ取り、去りゆく季節への名残惜しさを詠み込みます。「去る夏」「送る夏」なども同じ意味で使われ、単に季節が移り変わる事実だけでなく、心の中にある一抹の寂しさや哀愁を映し出す情緒豊かな言葉です。 この季語で詠むコツ 暑さが引いていく様子を単に説明するのではなく、身の回りの具体的な情景を通して「夏が去っていく実感」を捉えることが大切です。賑やかだった海や川の静けさ、遊び疲れた後の夕暮れ、日差しを浴びて色あせた景色など、夏ならではの余韻を描き出しましょう。その際、秋の訪れを意識するあまり、赤とんぼや秋風といった秋の季語を重ねてしまわないよう注意が必要です。夏そのものの終わりを見届ける視点を保ちましょう。 相性のいい言葉・取り合わせ ・波音、砂浜、海辺(夏の賑わいが去った水辺の気配) ・夕茜、日暮れ、雲の峰(夏の終わりの空や光の情景) ・麦藁帽子、日傘、風鈴(夏を共に過ごした道具や装い) ・畳む、しまう、立ち尽くす(惜別の思いを静かに伝える無季の動詞)

夏野

summer

なつの

意味・由来 「夏野(なつの)」とは、草が生い茂る夏の広々とした野原のことです。春の野原が可憐な花々や芽吹きで華やぐのに対し、夏野は太陽の強い光を浴びて青々と繁茂する草々の圧倒的な生命力や、広大なスケール感が大きな魅力です。古くは『万葉集』の時代から「夏野行く」として旅の情景などが詠まれてきました。照りつける日差しの激しさだけでなく、草むらから立ちのぼる匂いや、野を吹き抜ける風の心地よさ、果てしない空間への旅情や寂寥感も表現できる季語です。 この季語で詠むコツ 夏野の持つ「広大さ」と「草の勢い」をどう捉えるかが作句の鍵となります。ただ「広い夏野」と述べるのではなく、視野を絞り込む要素を取り合わせると効果的です。たとえば、青草の中に伸びる「一本の道」、草を揺らす「風」、遠くに見える「山並み」や「巨大な雲」などを置くことで、野原の広さと奥行きが際立ちます。また、歩く人間の汗や靴音、草いきれといった五感に触れる描写を重ねることで、夏の厳しさと自然の力強さを生き生きと描き出すことができます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・風、南風、青嵐(草を大きく揺らし、広さを感じさせる風の描写) ・雲の峰、入道雲、日ざし(夏野の背景として立ち上る壮大な夏の空) ・一本道、轍、自転車、歩み(果てしない野原を渡る人間的な動き) ・草の香、青草、陽炎(草いきれや熱気など、夏ならではの感覚)

麦生

summer

むぎふ・むぎう

意味・由来 「麦生(むぎふ、または、むぎう)」とは、麦が生え育っている畑、すなわち麦畑のことを指す夏の季語です。「生(ふ)」は植物が群がり生えている場所を表す言葉で、古くから和歌などで用いられてきました。麦は初夏に黄金色の実を結び収穫期を迎えるため、夏の季語とされています。畑一面に麦が豊かに実り、金色に輝く穂波が広がるのどかで力強い田園風景を連想させます。 この季語で詠むコツ 麦生を詠む際は、視覚的な広がりや風の動きを意識すると生き生きとした句になります。初夏のからりとした青空の下で麦の穂が波打つ様子や、麦畑を吹き抜ける風の心地よさ、穂が擦れ合うかすかな音など、五感で捉えた情景を言葉に落とし込みましょう。雄大な景色の全体像を捉えるのも魅力的ですが、麦生の傍らに立つ石仏や、畑のあぜ道を歩く人物など、小さな対象と取り合わせることで風景に物語性が生まれます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・南風(みなみ) ・青空(あおぞら) ・雲の峰(くものみね) ・街道(かいどう) ・遠山(えんざん)

九夏

summer

きゅうか

意味・由来 「九夏」とは、夏の三ヶ月間、すなわち約九十日間にわたる夏全体を指す時候の季語です。古代中国の暦において、一季を九十日間と数えたことから生まれた言葉で、初夏から晩夏までの巡りや、長く続く厳しい暑さの期間そのものを表します。漢語に由来する格調高く引き締まった響きを持ち、夏という季節を大きく捉えたいときに用いられます。 この季語で詠むコツ 漢語らしい硬質で雅やかな趣があるため、日常のこまごました生活感を描くよりも、雄大な自然や悠久の歴史、時の移ろいを大きく詠み込む句によく合います。夏全体を俯瞰するような落ち着いた視点を持ち、重厚な言葉と取り合わせることで、「九夏」の持つ風格や静かな迫力を引き出すことができます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・山河、大河、連峰(夏の壮大な自然を表す無季の言葉) ・古寺、石段、静寂、歳月(時の重みや静けさを醸し出す無季の言葉) ・雲の峰、炎天、青葉、滴り(力強さや清涼感を添える夏の言葉)

青葉山

summer

あおばやま

意味・由来 「青葉山(あおばやま)」は、初夏から夏にかけて若葉や青葉が一面に生い茂った山を指す夏の季語です。木々の生命力が満ちあふれ、山全体がみずみずしい緑に覆われている雄大な景色を象徴しています。各地に「青葉山」という固有名詞の山や歌枕も存在しますが、俳句においては特定の山だけでなく、青葉に包まれた夏の山全般を美しく讃える言葉として広く用いられてきました。新緑の爽やかさから、さらに一歩進んだ夏の力強い緑の深まりを感じさせる季語です。 この季語で詠むコツ 山全体の青さをただ描写するだけでなく、光の明暗や風の動き、空気の匂いなど五感を使って立体的に表現することが上達のコツです。例えば、青葉山から吹き下ろしてくる風の冷たさや、湧き立つ白い雲とのコントラスト、山あいに流れる清流の音などを取り合わせると、山の瑞々しさがより鮮明に立ち上がります。視界いっぱいに広がる緑の「量感」や、夏ならではの活気ある自然の息吹を捉えてみましょう。 相性のいい言葉・取り合わせ ・雲の峰(夏の季語) ・南風(夏の季語) ・滝(夏の季語) ・こだま(無季) ・日差し(無季) ・街道(無季)

初風

autumn

はつかぜ

意味・由来 「初風(はつかぜ)」とは、立秋を迎えて初めて吹く秋の風を指す初秋の季語です。暦の上で秋になったとはいえ、まだ厳しい残暑が続くころ、ふとした瞬間に肌を撫でる涼やかな一筋の風を意味します。古くは『古今和歌集』をはじめとする古典和歌の時代から詠まれており、猛暑が和らぐかすかな安堵感とともに、やがて訪れる本格的な秋の寂しさの兆しをも予感させる、非常に繊細で情感豊かな季語です。 この季語で詠むコツ 「初風」を詠む際は、大げさな天候の変化ではなく「身の回りのささやかな気配」に着目するのがポイントです。ただ「涼しい」と直接説明するのではなく、風が触れたもののわずかな揺れや音、日常の無意識な動作を描き出すと効果的です。例えば、手にしていた団扇を思わず置く、ふと首筋に冷気を感じる、庭の草の葉先がかすかにそよぐといった、小さな発見を写し取ることで、秋の訪れを敏感に感じ取った余情が生まれます。 相性のいい言葉・取り合わせ 生活・道具:扇、簾(すだれ)、窓、襟元、湯上がり 自然・景物:露、梢、水面、夕暮れ、雲の峰、草の葉 動作・感覚:触る(触る)、置く、立ちそめる、ふと、かすかに

昊天

summer

こうてん

意味・由来 「昊天(こうてん)」とは、夏の空、あるいは夏の天そのものを指す季語です。古代中国の辞典である『爾雅(じが)』に「夏を昊天となす」と記されていることに由来します。「昊」という漢字には、天が広大で明るく輝くという意味があり、夏の強い陽気が満ちてどこまでも広がる大空を表しています。単なる「青空」や「夏の空」というよりも、光に満ちあふれた雄大さや、圧倒的な大自然の広がりを感じさせる重厚な言葉です。 この季語で詠むコツ 「昊天」は漢語由来の格式高く硬質な響きを持っています。そのため、大自然のスケール感や、眩いばかりの光の強さを表現するのに最適です。山や海、地平線といった大きな風景と合わせると季語の壮大さが際立ちます。一方で、広大な「昊天」の下にいるちっぽけな人間や、日常のささやかな営みを取り合わせて対比を描くのも深みを生むコツです。言葉の重みに負けないよう、情景をしっかりと具体的に描写しましょう。 相性のいい言葉・取り合わせ 夏の空の広大さや力強さを引き立てる言葉と相性が抜群です。 ・自然・景観の言葉(夏):青嶺、雲の峰、岩礁、潮風 ・一般的な描写の言葉(無季):仰ぐ、大地、涯(はて)、遥か、白き巨船、陽光

国祭

summer

くにまつり

意味・由来 「国祭(くにまつり)」とは、かつての令制国における総社や一宮、あるいはその地方を代表する大神社で行われる大規模な祭礼を指す夏の季語です。京都の祇園祭や大坂の天神祭といった名高い大祭をはじめ、諸国の風土に根ざして古くから受け継がれてきた格式高い夏祭りを広く表します。単に「祭」と呼ぶ場合よりも、その土地の歴史の重みや、郷土を挙げて神を迎える雄大な広がりを感じさせる言葉です。 この季語で詠むコツ 単なる喧騒や賑やかさだけでなく、「国」という言葉が持つ風土の広がりや、そこに暮らす人々の誇りと熱気を捉えるのがコツです。古びた社殿や大鳥居、山河の景観を取り合わせることで、土地の歴史や神話的な奥行きが生まれます。また、夏の強い陽射し、祭の宵を渡る川風、熱気を冷ます夕立など、夏ならではの自然の表情と結びつけることで、季節感と臨場感にあふれる豊かな一句に仕上がります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・神社や祭の道具:一の宮、総社、神輿、山車、太鼓、篝火 ・土地や人の営み:氏子、大路、渡し舟、古道、掛け声 ・夏の自然や情景:雲の峰、青嵐、川風、夕立、炎天

岩蔓

summer

いわかつら

意味・由来 「岩蔓(いわかつら)」は、初夏から盛夏にかけて山中の岩肌や大木に這い登る蔓植物を指す夏の季語です。主にツルアジサイやイワガラミなどを指し、涼やかな緑の葉の間に清楚な白い装飾花を咲かせます。ごつごつとした荒々しい岩場にしっかりと根を張り、しなやかに蔓を伸ばして覆い尽くす姿は、深山幽谷の静けさとたくましい生命力を同時に感じさせます。古くから山深い自然の風情を詠む言葉として親しまれてきました。 この季語で詠むコツ 硬く乾いた岩と、みずみずしく柔らかな蔓や葉という「質感の対比」を意識して描くのが基本です。また、岩蔓が生えている環境を想像し、渓流の水しぶきや山中を吹き抜ける涼風、木漏れ日といった五感を刺激する要素を取り合わせると、夏の山ならではの清涼感が際立ちます。険しい自然の中でひっそりと咲く花の白さに焦点を当て、静寂や孤高の美しさを表現するのも効果的です。 相性のいい言葉・取り合わせ ・巨岩、岩肌、渓谷、山道(無季の情景語) ・水音、飛沫、木漏れ日、滴(無季の感覚語) ・清水、山風、青嵐、雲の峰(夏の季語)

万年杉

summer

まんねんすぎ

意味・由来 万年杉は、名前に「杉」と付きますが樹木ではなく、ヒカゲノカズラ科の常緑のシダ植物です。深山や亜高山の針葉樹林の林床などに群生し、まっすぐに立ち上がって細かく枝分かれする姿が、まるでミニチュアの杉の木にそっくりであることからこの名が付けられました。夏になると、枝先に小さなブラシのような胞子嚢穂をつけます。深く静かな森の中で、みずみずしい緑を保ちながら凛と立つ姿から、夏の季語として親しまれています。 この季語で詠むコツ 「小さな大木」ともいえる独特の姿と、それが生えている山深い清涼な空間を対比させて詠むのがポイントです。亜高山の澄んだ空気、薄暗い森に差し込む木漏れ日、湿り気のある苔や岩肌など、深山の空気感を五感で描写すると季語が生き生きと輝きます。また、足元をふと見下ろしたときに見つけた驚きや、その小さくもたくましい生命力に焦点を当ててみるのもよいでしょう。 相性のいい言葉・取り合わせ ・深山、沢音、木漏れ日、苔清水(自然の静けさや涼しさを表す言葉) ・岩陰、露、雫、足もと(小さな存在感を際立たせる言葉) ・夏木立、雲の峰、青嵐(夏の力強い情景と対比させる夏の言葉)

梅雨晴る

summer

つゆばる

意味・由来 「梅雨晴る(つゆばる)」は、長く降り続く梅雨の合間に、一時的に青空が広がって晴れることを指す夏の季語です。「梅雨晴(つゆばれ)」や「梅雨晴間(つゆはれま)」とも呼ばれます。鬱陶しい長雨の日々から一転して強い陽射しが差し込むため、心身が解き放たれるような明るい開放感をもたらします。ただし、その晴れ間は長く続かないことが多く、急激な気温の上昇によってむっとするような湿気や蒸し暑さを伴うのもこの時期ならではの特徴です。 この季語で詠むコツ 単に「晴れて気持ちが良い」と心情を述べるのではなく、光や水気、匂いといった五感の具体的な変化を捉えるのが上達の秘訣です。雨に濡れていた木々の葉が光を照り返す様子や、慌てて洗濯物を外へ干し出す人々の暮らしの活気、あるいはすぐにまた曇ってきそうな空模様の移ろいなどを切り取ると、この季語が持つ「束の間の貴重な晴れ」という実感がより際立ちます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・暮らしの情景:洗濯物、窓、路地、靴、傘を畳む、自転車 ・光や自然の描写:眩しき日差し、濡れし土、水たまり、青空、水滴、風の匂い ・夏の事物:青葉、雲の峰、風鈴

夏断

summer

げだち

意味・由来 「夏断(げだち)」とは、仏教の修行期間である「夏安居(げあんご)」が終わることを指す晩夏の季語です。「解夏(げげ)」や「夏解(げじえ)」とも呼ばれます。仏教の発祥地であるインドの雨季に由来し、日本では陰暦四月十六日から七月十五日までの九十日間、僧侶が一堂に会して堂内に籠もり、草木を踏み小虫を殺めないよう外出を控えて厳しい坐禅や学問に励みました。この厳しい籠居修行が満了し、結願を迎えることを「夏断」といいます。修行を無事に終えた僧侶たちの安堵と、再び各地へ旅立つ晴れやかな気持ちが込められた季語です。 この季語で詠むコツ 長く続いた厳しい修行から解放された僧侶たちの安堵感や、静かに訪れる達成感を詠み込むのが基本です。寺院のたたずまいだけでなく、現代では何かに打ち込んだ日々の一段落や、耐え忍んだ日々の区切りとして自身の心境を託して詠むこともできます。時期は晩夏にあたるため、夏の盛りを過ぎた気配や夕暮れの涼風、蝉の鳴き声の変化など、季節の移ろいと重ね合わせることで、深みのある情景を描くことができます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・寺院や仏教の情景:山門、錫杖、石段、袈裟、鐘の音、読経 ・晩夏の自然や気候:夕風、蝉時雨、雲の峰、竹林、暮色 ・動作や心情を表す言葉:解く、息つく、仰ぐ、歩み出づ、旅立つ

青岬

summer

あおみさき

意味・由来 青岬とは、木々の青葉や草が生い茂り、瑞々しい緑に覆われた夏の岬のことです。海へと突き出た断崖や丘陵が初夏から盛夏にかけて力強い緑に染まり、周囲に広がる青い海原や澄み渡る青空と鮮烈な対比を見せます。自然の雄大な生命力と、海風の爽快感、そして大海原を臨む旅情や清々しさを感じさせる、夏ならではの美しい季語です。 この季語で詠むコツ 空と海、そして岬の緑という、重なり合う「青」のグラデーションや、打ち寄せる白波との色彩の対比を意識して描写すると、情景が鮮やかに立ち上がります。視覚的な美しさだけでなく、吹き抜ける潮風の音や匂い、肌に感じる日差しの強さなど、五感を働かせた実感を織り込むのがポイントです。岬の上に立つ白亜の灯台や、水平線をゆく船などを点景として添えると、広大な風景の中に心地よい遠近感が生まれます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・情景を彩る言葉:白き灯台、水平線、潮風、航跡、砕くる波 ・夏の時候や気象:南風、雲の峰、夏の雲、青嵐、日差し

麦畑

summer

むぎばたけ

意味・由来 初夏、黄金色に熟した麦が一面に広がる畑を指す季語です。実りの秋とは異なり、初夏は「麦秋(ばくしゅう)」と呼ばれ、麦にとっての収穫の季節を迎えます。青々とした他の植物の緑とは対照的に、金色に輝く穂が風に揺れる様子は、夏の訪れとともにどこか懐かしく温かみのある大地の恵みを感じさせてくれます。 この季語で詠むコツ 視覚的な美しさと「動き」を意識して捉えるのが上達の近道です。太陽の強い光を受けて金色に波打つ麦のうねりや、吹き抜ける風の音、遠くに見える山並みや青空との対比を描くと情景が鮮やかに立ち上がります。広々とした風景全体を描くだけでなく、麦の穂先に止まる虫や、畑を横切る一本の道など、小さな一点に焦点を絞ることで、広がりのある叙情的な一句に仕上がります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・風、南風、薫風(麦の穂を大きく揺らす初夏の風) ・青空、雲の峰(黄金色と青や白の美しい色彩対比) ・一本道、轍(わだち)、遠山(広大な畑の広がりを強調する無季の言葉)

麦車

summer

むぎぐるま

意味・由来 「麦車(むぎぐるま)」とは、初夏に収穫した麦の束を高く積み上げて運ぶ荷車のことです。古くは牛馬に引かせたり、人が引く大八車が用いられました。麦の実る「麦秋(ばくしゅう)」は初夏の季語であり、麦車も同じく初夏(仲夏)の季語となります。黄金色に実った麦を満載にした車が行き交う光景には、収穫期特有の活気と、実りの豊かさ、農作業に励む人々の汗と喜びが象徴されています。 この季語で詠むコツ 山のように積まれた麦の「量感(ボリューム)」や「重さ」、車輪の軋む「音」、そして初夏の乾いた風や土埃といった五感を刺激する描写を取り入れるのがコツです。昔ながらの木車を思い浮かべるのも趣がありますが、現代の軽トラックや運搬車に麦が積まれている情景として詠むことも可能です。夕日を背にゆっくりと坂を下る姿など、光や影のコントラストを意識すると、初夏の田園風景が鮮やかに立ち上がります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・情景・動き(無季):轍(わだち)、坂道、きしむ、傾く、夕影、野道、農夫 ・夏の季語・夏の言葉:青嵐(あおあらし)、炎天(えんてん)、汗、夕風、雲の峰

雪解富士

summer

ゆきげふじ

意味・由来 「雪解富士(ゆきげふじ)」とは、初夏から夏にかけて、富士山の頂を覆っていた雪が次第に解け、黒々とした荒々しい山肌がまだらに露出してくる雄大な姿を指す夏の季語です。平地では春に雪が解けますが、高嶺である富士山では初夏を迎えてようやく雪解けが本格化します。冬の白銀の衣を脱ぎ捨て、夏の力強い霊峰へと姿を変えていく、季節の移ろいと大自然の躍動感を象徴する言葉です。 この季語で詠むコツ 白と黒のコントラストや、雪形が刻まれる山肌のダイナミックな表情に焦点を当てると臨場感が出ます。富士山そのものの雄大さに圧倒されて単なる風景説明に終わらないよう、麓を吹き抜ける風の心地よさや、遠くから仰ぎ見る作者の生活感、夏の眩しい日差しなどと響き合わせるのがコツです。遠景としての富士と、近景の生き生きとした夏の景物を対比させると、奥行きのある一句になります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・夏の空や風(青嵐、夏雲、雲の峰、南風、炎天) ・水辺や土地の情景(駿河湾、芦ノ湖、裾野、青田、黒土) ・動きや色彩を表す言葉(縞模様、山肌、水滴、仰ぐ、朝晴れ)

昆布船

summer

こんぶぶね

意味・由来 「昆布船(こんぶぶね)」とは、北海道や東北地方の沿岸で、夏に昆布を採取するために繰り出す小舟のことです。昆布漁は七月から八月にかけて最盛期を迎え、早朝の合図とともに港から無数の船が一斉に出漁します。船上から箱眼鏡で海底を覗き、長い竿の先の鉤で昆布を巻き取って引き上げ、船いっぱいに積み込んで戻ります。北国の冷涼な夏の海、漁師たちの逞しい営み、そして収穫の活気を象徴する生活感に満ちた季語です。 この季語で詠むコツ 北の海の厳しくも豊かな自然と、活気あふれる漁の情景を鮮やかに切り取るのがコツです。早朝の澄んだ空気や波のきらめき、濡れた昆布の黒々とした艶や磯の香りを五感を使って描写すると、読者にその場の臨場感が伝わります。また、船団が一斉に海へ向かう動的な勢いを詠むか、昆布を山積みにした船が静かに港へ戻る安堵感を詠むかで、句の表情が大きく変わるのも魅力です。 相性のいい言葉・取り合わせ ・朝凪(あさなぎ・夏の季語) ・雲の峰(くものみね・夏の季語) ・舳先(へさき・無季) ・櫂の音(かいのおと・無季) ・潮煙(しおけむり・無季)

有無日

summer

ありなしび

意味・由来 「有無日(ありなしび)」とは、夏の空に雲が多く、太陽の光が出たり隠れたり、あるいは薄雲の向こうにぼんやりと透けて見えるような、照るのか曇るのか定まらない日照の様子を指す夏の季語です。完全に晴れ渡るわけでもなく、本格的に雨が降るわけでもない、夏独特の蒸し暑さや気まぐれな空模様を「日の光が有るような、無いような」と繊細に捉えた言葉です。梅雨の晴れ間や夏の夕立の前後など、光と影がめまぐるしく移ろう情景が美しく表現されています。 この季語で詠むコツ 「有無日」を詠む際は、光の明暗の移り変わりだけでなく、それによって生じる肌感覚や周囲の景色の変化に注目するのがコツです。雲間から光が射した瞬間の猛烈な熱気や、日が翳ったときの束の間の湿った涼しさ、風の動き、草木の葉の色がふっと明るくなる瞬間などを丁寧にすくい取りましょう。「照る」「曇る」と直接説明するのではなく、影の輪郭の薄さや、人の佇まいなどを通して、掴みどころのない光を間接的に描写すると余韻が深まります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・水気(みずけ)、湿り、風、影、雲の峰(夏の季語) ・日傘(夏の季語)、汗(夏の季語)、木陰(夏の季語) ・道、坂、窓、庭、ふと、ぼんやりと

俳句 (5)

雲の峰幾つ崩れて月の山

作者: 松尾芭蕉季語: 入道雲出典:『おくのほそ道』

入梅晴の朝より高し雲の峰

谷底に見あげて涼し雲の峰

雲の峰に扇をかざす野中哉

ひら〳〵とあくる扇や雲の峰