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本来、苺の自然な旬は初夏であり、単に「苺」といえば夏の季語となります。しかし現代では、温室栽培の進歩や洋菓子の需要などにより、真冬に店頭へ美しく並ぶ姿がすっかり定着しました。この真冬に実を結ぶ苺を「冬の苺」と呼び、冬の季語として扱います。寒風が吹きすさぶ厳しい季節に、温室の中で大切に育てられた鮮やかな赤色と芳醇な甘い香りは、冬の日常に愛らしさと華やぎを与えてくれます。
冬の苺を詠む際は、外の寒冷な気候と室内の温もり、あるいは冬特有の無彩色の風景と苺の鮮やかな「赤」との対比を意識すると情景が鮮やかに立ち上がります。また、日々の団らんや家族の笑顔、病床への見舞いなど、現代の暮らしに根ざした場面を取り合わせやすいのも特徴です。単に「甘い」「赤い」と表すのではなく、果実の柔らかな手触りや口いっぱいに広がる瑞々しい酸味、指先に残る微かな冷たさなど、五感を生かして表現すると魅力的な一句になります。
・色彩や光を表す言葉(真紅、白磁の皿、銀の匙、日差し、硝子越し) ・室内の温もりや情景(ストーブ、温室、洋菓子、卓上、掌) ・感触や状態を表す言葉(瑞々し、尖り、香気、甘酸っぱし、冷たさ)